時は2021年5月、週の半ば過ぎにkhusnulさんから連絡があった
『今週末スラバヤに来い、Monstero行くぞ。』
うーん、流石に急すぎる。1日で準備して飛行機でスラバヤ行くのはキツい、当時は感染爆発前とはいえコロナ検査証明もあるし色々と面倒なのだ。
今回は断ろうと思っているとレディアングラーの集いがあるからお前も来いよ、とのことだ。
週末、私はスラバヤに降り立った。決してレディアングラーの集いに釣られた訳ではなく、日本から取り寄せたばかりのFinch カナリア68MLとカルコンBFSの試し釣りをしたかったのだ。決してレディアングラーの集いに釣られた訳ではない。
スラバヤに着いてMonstero Fishing Park(以下MFP)に向かっている道中にKhusnulさんより連絡が有り、急用で行けなくなったので明日に変更になったという。
まあどちらにせよ土日両方ともMFPで釣り倒そうと考えていたので特に問題は無い。今日はUL池で前回釣れなかったダトニオイデスでも狙おう。
久しぶりにやってきたMFP、到着したのは朝の10時過ぎで空港から直行したので受付にスーツケースなどを預かってもらい、すぐに釣りの準備をする。
今回のタックルはロッドがFinch カナリア68ML、リールはカルコンBFSにPE0.5号、リーダーフロロ1号。カルコン200にPE5号、リーダー50ldの二つを持って来た。
カナリア68MLは中国駐在員の方のインプレをよく読んでおり、やたら評判が良かったのでカルコンBFSと一緒に購入してみた。
メーカーが私の地元ということもポイントが高い。MLにも関わらず70cmくらいのバラマンディも問題無く上げれたとのことだったが、フィネス仕様で前回と同じようなシクリッド系の小物を中心に色々な種類の魚を狙うつもりだ。
初めて竿を組んで握った感触はグリップ周りにかなり違和感があったがリールを装着するとその違和感は消え、ベストバランスのように感じる。
竿先は柔らかく、MLよりもっと柔らかい印象を受けるが推奨ルアーウェイトは3-30gとなっている。
普通の怪魚パックロッドと比べてかなり細くて軽いので正直20g以上のルアーをフルキャストするのは勇気がいる。
逆にフィネス仕様のセッティングなら2gとかのジグヘッドも驚くほど遠くまで飛んでいく。ライトな竿が好きなインドネシア人にも受けがよさそうだ。
新しい種類こそ見れなかったが今回も色々な魚が釣れてくる。池の様子は前回訪問時と比べ、浮いているアロワナの数が目に見えて増えている。あいつら中々食わないからいつか攻略法を見つけたい。
後日聞いた話ではUL池にも大型の魚をたくさん放流してモンスター池が餌とルアー両方OKなのに対し、UL池は純粋なルアー専門の大物怪魚池としてシフトチェンジしている最中らしい。
そういえば最近のインスタの投稿ではマングローブジャックが釣れている投稿ばかりである。
小物でも変わった魚が釣りたい私としては小さな魚が全部食べられていないか心配だ。多分放流したけどもう存在しない魚もいるだろう。
岸際の魚を狙っていると小さなマヤンシクリッドが掛かり、雑に取り込もうとした瞬間に足元でバラマンディが襲ってきて魚を喰った。
不意の大物にPE0.5じゃ厳しいかなあとドラグに気を遣いながらやりとりをしていたが普通に取り込むことが出来た。
事故的な釣れ方ではあったがやっぱりバラマンディはカッコいい。60cmに届かないくらいのサイズだ。
竿もしっかり曲がって良い感じだ、これくらいのサイズの魚なら全く問題無い。
なによりルアーを投げていて、巻いていて楽しい。ルアー釣りにおいて一番長い時間はキャストして巻いている時間だが、キャストとリトリーブが楽しいと感じると釣りの満足感が1段階上がった気がする。
この点は後日購入した610Mよりも68MLのほうが断然上だと思っている。ただやはり怪魚ロッドとしてはパワー不足感が否めない。
時間をかければ大きな魚も獲ることは出来るだろうが、コロソマやトーマン、レッドテールなどに使いたいと思うのは間違いなく610Mである。
カリマンタンでは68MLが大活躍したので、小型~中型の魚には68ML、大型には610Mという使い分けが個人的な結論だ。
何度か大きな魚に切られてしまったので糸もカルコンBFSだからといって細いものを使う必要はなく、むしろPE1-2号、リーダー20ldくらいまで上げるのが良いと実感した。
せっかく掛かった魚は確実に獲りたいし、そこまで飛距離に拘る必要も無い。中学の頃に買ったベイトリールばかり使っていたので現行のハイエンド機は遙かに飛ぶ。
そんなこんなで一日目が終わった。朝の4時前にバンドンを出発しているので疲労感が強く、日焼けで顔が痛い。バンドン住みの人間にはスラバヤは暑すぎる。
今回はスラバヤの都市部でホテルを取らずに空港近くにホテルを取っていた。
スラバヤのジュアンダ国際空港はスラバヤの都市部とMFPのちょうど中間という位置取りなのでMFPに行くだけなら空港近くにホテルを取るのが最も利便性が良い。
スラバヤにホテルを取ってモールで買い物や美味しいものを食べるのも最高なのだが、今回は近くでバーガーキングを食べて速攻で寝た。
翌日、朝の5時から予約を入れていたので4時にホテルをチェックアウトし、ロビーで迎えを待つ。Khusnulさんの友達の女性が迎えに来てくれるらしい。
1時間ほど後に迎えに来てくれたDevyさんの車でMFPに向かう。この日はバンドンに帰る日でもあるので正午過ぎには空港へと出発する予定だ。
Khusnulさん達は遅れてくるとのことで、先に二人でモンスター池での釣りを始める。
この池は餌もルアーも自由だが、餌は現地では販売していないので自分で用意しなければいけない。池で泳いでいるシクリッドを釣って針に掛けることも禁止されている。
バラマンディを狙うなら生き餌、レッドテールなどの底物系を狙うなら魚の切身や生肉などを用意するのが良いだろう。
エアーオグルを投げて最初の一投目で竿が思い切り引き込まれた。ギューンギューンと魚が首を振る度に小気味よく曲がる竿、これはあの魚だなという目星はついたが、なかなか寄ってこない。
カナリア68MLがエゲツないくらい曲がっているが突っ走る魚では無いので問題なさそうだ。
数分の後に上がってきたのは1mちょいのアリゲーターガーだ。あまり引く魚では無いが長い体を活かした首振りが独特な引きを生み出している。
小さいサイズのは何度か釣ったことがあるがここまで大きいのは初めてだ、流石モンスター池。
ふいにアクシデントが起こった。写真を撮った後で魚を抱えたついでにリリースをしようと水際に移動した時に足場が崩れ、魚と一緒に池にダイブしてしまう。
しかもその際に尻を付いたところに竿があり、カナリア68MLの先をへし折ってしまった。
服も財布もスマホもずぶ濡れだ。タイミング悪くKhusnulさん達も到着し、池の中から挨拶をすることになった。初対面の女性に変わったモンスターがいると笑われてしまった。
最高潮の気分は一瞬にして最悪に。幸いにもケガはなく、スーツケースに着替え一式があったので着替えて陽の当たるところに服やパンツを干した。
i-phoneもなんとか生きているようだが顔認証システムが今も使えないままだ。
すぐにFinchにメールをしてパーツの注文をしたが、池に落ちて尻でへし折ったとは恥ずかしくて言えず、大きな魚を釣ったら折れてしまったと報告した。
間違ったことは言っていないのだが、嘘をついてごめんなさい・・・
開始一投で釣りが続行不可能になってしまったので呆然としているとKhusnulさんが貸してやるよとFishmanの竿を貸してくれた。
いい竿持ってるなあと思いつつもこんなに高い竿借りて壊したらどうしようと少し及び腰になってしまう。
みんな餌やルアーなど思い思いの釣りをしている中でヴェイロンを投げていた私の竿に変化があった。地球を釣ったような感触から少しずつ何かが動いている。
レッドテールの大きいのが掛かったかな?と考えていたが全く寄ってくる気配が無い、やがて魚が動き出すと竿をのしたまま糸をどんどん引き出していく。
これはヤバい、魚は対岸付近から少し寄ってきたと思ったら離れるを繰り返し制御不能のまま30分以上が経過しているが全く弱る気配が無い。
最初は大騒ぎしていたギャラリーも既に飽きて釣りを再開しており、後ろでKhusnulさんがデカいバラマンディを釣ったと大騒ぎだ。
私もバラマンディ見たいなあと思いつつもそんな余裕は一切ない。正直もう切れてくれてもいいかなと思うほど長丁場になっているが、せめて何が釣れているかぐらいは見たい。
ふいに遠くで大きな魚の背中が見えた。めちゃくちゃデカいパンガシウスだ。ルアーで釣れているのでこの時は30kgクラスのパールムが釣れたのかなと思っていたが、そこからまた30分程かけてやっと近くに寄ってきた。
メコンオオナマズだ、しかもどてっぱらにスレ掛かっている。汗と手のしびれが半端無い、間違いなく人生で一番引いた魚だった。
この倍以上に成長する魚らしいが、私にはこれでもいっぱいいっぱいだ。ピラルクしかり、学名にギガスがある魚はヤバい。
Khusnulさんの貸してくれた竿で無ければ相当厳しかっただろう。まだ時間はあるが釣りを続ける余力はもうない。メーターオーバーを2匹釣ったからもう十分だ。
昼食を食べながら談笑をしていると女性とはいえ海外にも釣行に行っている猛者ばかりだった。
やはり釣り人同志、魚の話になると会話が止まらない。ツララの竿を何本も所有している人もおり、経済力も私より圧倒的に高そうだ。
色々な情報を教えてくれるみたいだったので各々のインスタをフォローし合って帰路に着く。
失ったものもあったが凄いのが釣れたし、交友関係も広がったのでまあ良しとしよう。
魚と人間の限界パワーファイトみたいな釣りは私には向いてないね。
コメント
メコンオオナマズ!めちゃくちゃデカイですね!
普通に口にかかってても大変そうなんですが、スレがかりなら
抵抗大きいから更に大変です
しかし、いろんな魚がいますねえ。しかもデカイのが多いし
日本との環境の差なんでしょうか
コメントありがとうございます!
メコンオオナマズは世界最大の淡水魚の一つですが、やはりデカい淡水魚が育つ環境としてメコン川やアマゾン川みたいな何百キロあって水深も数十メートルある大河の存在が不可欠なのではないでしょうか。まあ日本のビワコオオナマズとかイトウも十分デカいですけどね。