本ページは食肉の加工に関わる刺激の強い画像が多くあります。
耐性の無い方や特に犬が好きな方は戻るを押して下さい。必ず気分を悪くすると思われます。
この地に住まう人々の文化を尊重し、世の中には肉を加工する為にこのような日常を過ごしている人がいて私達はその恩寵を受けていることを忘れてはいけないということで記事に書くことにしました。
マナド滞在2日目、今日は朝からミナハサ族伝統の市場を見に行く予定だ。
市場に関係する形容詞として賑やかな、とか大きななんてのは分かるが過激なという物騒な形容詞がつけられている市場を私は他に知らない。
何がエクストリームなのかと言うとこの地に暮らすミナハサ族はなんでも食う、それは一般的な家畜動物に限らず爬虫類、哺乳類なんでもだ。
つまりヘビやコウモリに猿のような狩猟で獲られた野生動物や犬猫のような伴侶動物までが食肉として市場に並んでいるのである。
この市場のことを初めて知ったのは10数年前、まだ私が学生でインドネシアのことなど全く知らなかった頃に当時のバイト先に海外放浪好きの先輩がおり、凄い所に行って来たと写真を見せてくれた。
田舎から出てきたばかりで今のようにねじくれていなかった私は大層ショックを受け、こんな残酷な場所が世界にはあるのかと深く印象に残っていた。
その後何の因果かインドネシアで働くようになり、この市場のことを知ることは難しくなかった。ここは良い意味でも悪い意味でも有名なのだ。
トモホンは標高の高い都市ということで空気が冷たい、日差しに当たっていると暑いが日陰は日本の秋のような気候だ。
売っている物は普通のインドネシアの市場と大差無い、やはり異色を放っているのは狩猟動物を扱う場所になる。
スラウェシ島では2018年にアミメニシキヘビに人が食べられる事件が2件発生しているが、ここではニシキヘビは食糧である。
野生動物はバーナーで毛を焼いて陳列している為に見た目がとてもアウトだ。その場で焼いている為に周囲には毛を焼く匂いが充満している、小さな頃にふざけて教室のストーブで体毛を焼いた時の匂いだ。
黒魔術にでも使うような物体を誰が買うのかと見ていたら飛ぶように売れている。少し離れて戻ってきたらもう無いという程だ。
非常に勝手な話だが肉だけなら美味そう、なのに動物と分かるパーツが見えると途端に複雑な気分になる。
マスクを貫通する辺り一面に広がる血生臭い匂いに当てられてかなりキツい。
これ以上の画像は控えるが犬や猫も食肉の対象であり、注文が入ると棒で処理がなされ、バーナーで同様に毛を焼かれていた。
その様子には心臓がキュッとなった。牛や豚はまだ大丈夫だったが、犬となるとやっぱつれぇわとなってしまうのは多くの人が同様の感情を抱くことだろう。
このありのままが見えてしまう市場は当然のごとく国内外から大バッシングを受けており、閉鎖に追い込もうとしている動物愛護団体も多い。
私が写真を撮っていたらお前は愛犬団体の回し者か?という睨みがかった質問をされたが、観光だと答えたらさあ撮れ撮れと対応が変わった。
もうちょい見えないようにするだけで全然印象が違うと思うのだが、檻で怯える動物をその場で処理してそのままの姿でファイヤーしてしまうのは絵面が悪すぎる。
まあ私もSNSとかで知らない人から魚を針で引っかけて遊ぶなんて野蛮ね、なんてDM送られて来たら返す言葉も無く速攻で涙目ブロックするが、ここの人達からしたら普通に生活しているだけで世界中から批判されるのは難儀なことだろう。
伴侶動物を食べるなと咎めることは他所の文化だからお門違いとも言えるがここが抱える問題はそれだけではない。
絶滅危惧種のクロザルやバビルサ、先日動物園で見たタンココ国立公園で保護されている動物も狩猟で捕獲され市場に並ぶこともあるそうで批判は更に集中している。
何というか、色々と考えさせられてしまう。鶏にしろ、犬にしろ毎日動物の命を奪って食べているのに実際の現場を見ると命に優先順位的な物が自分の中で発生していることに気づく。
気付いたとして、何かが変わる訳ではないが人の持つ原罪というものはアダムとイブの果実では無く、肉なんだなという考えに至った。
ここに来たのはある魚を探して来たという理由もある。近くにはトンダノ湖という大きな湖があり、一風変わった魚が生息しているのだ。
現地でIkan Payangka、パヤンカと呼ばれ英名はスネークヘッドガジョン、ライギョのような見た目のハゼの仲間である。
青やオレンジの彩りが非常に美しい、新鮮でまだ生きているが観賞魚を販売するサイトで1匹2万円という額を見てゴクリと喉が鳴った。
もうこんなもんでいいだろうと市場を一通り回って帰ろうとすると運転手さんがエクストリームな市場はまだあるぞと言ってきた。
そっちのが奥地な分珍しいものがあるぞということで、もう一生来ないだろうし折角だからお願いすることにした。服に付いた生肉の匂いと山道で気分が悪いが車の窓を開けると冷たい空気が心地よい。
次の市場を目指していると木造建築が沢山あることに気づく、ジャワ島の一般的な家屋は石やレンガ、セメントなのに対しミナハサ族の建築様式は木造の高床式建築とのことだ。
木造建築に理由があるのかと問うと木がいっぱいあるからだという返答があり納得した。
山奥にも関わらず誇張無しで2、300m毎に教会がある。ミナハサ族はプロテスタント系のミナハサ福音キリスト教会という宗派らしいが、教会の数に信仰心の高さが窺える。
ランゴワン市場に到着した。辺りには農村風景が広がるのどかな地域である。確かに山ばっかだし野生動物は沢山獲れそうだ。
野菜や香辛料、果物なんかは普通だ。やはり違うのはトンダノ湖の魚や肉類だろう。
ここは更にショッキングな光景が多く、ネット上に上げるのが憚られる画像ばかりで後々自分で撮った画像を見てもこりゃアカンとなってしまった。
大多数のインドネシア人はイスラムの教えから反芻する生き物以外は不浄であると捉え、牛、山羊、鶏以外の肉は基本的に食べないのに対し、ミナハサ族は山羊は食べないのかマナドに滞在している間に山羊を見ることは無かった。
日本人も海外の人から見ればこんなの食うのかよというものもあるみたいだし、文化の独自性は面白い。
もうしばらく市場はいいやという気分になったのでホテルに帰る。食欲はすっかり無くなっていたが朝から何も食べていないし、胃に優しそうなマナドの名物メニューを探してホテル前の食堂に立ち寄った。
マナドには3Bという名物とされている3つのものがある。
一つはPulau Bunaken、ブナケン島のBであり珊瑚礁の美しい海が広がる国立海洋公園だ。
シュノーケリングやダイビングで超有名らしいが私はあまり興味ない、海岸からの釣りが禁止なのである。
もう一つはBibir Manado、ビビルとは唇の意でマナドは美人の多い地域として有名である。
というのもインドネシアでは肌が白いことが美人の条件の一つとなっているがオランダや日本、フィリピンと関わりが深いマナドでは古くから混血が多く、肌の白い女性が多いとのことだ。
最後はBubur Manado、ブブルとはお粥のことでブブルマナドは普通のお粥とは見た目が全然違う。
匂いと悪路で酔った腹にはちょうど良いと注文してみる、色々な具材が入って美味そうだ。
黄色の元はカボチャ、他にもトウモロコシや芋、葉野菜とハーブが入っている。味付けは最低限の塩のみか、カボチャやコーン、芋の優しい甘さの後にレモングラスの爽やかな後味が吹き抜ける。
なんてお上品な料理だ、こんなん食べてたらそりゃ美人になる筈だ。なんというか…肉だ!肉を食わせてくれ!
コメント
いやあ、海外の食文化は凄いですね!
日本でもイルカやくじら肉に対して、海外の動物愛護団体の人たちが和歌山県太子町でイルカ漁に過激な行動で反対されてるんですが、この方たちは過激な行動で抗議しないんですかね?
文句いいやすい国でしかやらないのかな?
あとコウモリとかコロナの発生源とかいう話がテレビで報道されてたんですが
そちらのほうは報道とかなかったのかなあと気になりました。
コメントありがとうございます!
日本で活動していたシ◯シェパードとかは集金目的の過剰な演出が強いように思えましたが、ここも相当国内外からぶっ叩かれてますよ。
金にならない分過剰な抗議が無くシンプルな抗議というとこでしょうか。そもそもクジラだって色んな国で食べられてますしね。
コロナ感染爆発期はこの地域で感染源の疑いのあるコウモリやヘビの扱いを禁止するというニュースを見ましたが、今は普通に売ってました…