いつものようにダム湖でピーコックを狙っていた昼下がり、休憩の為に立ち寄った水上ワルンにベリーダ(ナイフフィッシュ)が干されていた。
元々外来種のスポッテッドナイフが流入していることは知っていて過去に一度狙いに来たこともあったが、夜行性故に夜釣りがいいとのことでいつか本格的に狙いたいなと思っていた。
そういえば近頃水産省が頻繁にここのベリーダに関する記事を出しており、スポッテッドナイフの消費を呼び掛けている。
要約するとインドネシア在来4種のベリーダは2021年から保護動物として指定しているので捕獲をしてはならないがスポッテッドだけは在来種を脅かす侵略的外来種なのでどんどん食べて消費しようということらしい。
インドネシア語でタイのベリーダ、Belida Bangkok(ベリーダ バンコク)と呼ばれるスポッテッドナイフは6代目のスシロバンバンユドヨノ大統領の頃に政策としてこのダム湖に持ち込まれた経緯があるらしいが今は相当増えていて専門の漁師もいるとのことだ。
釣り人が勝手に放流したトーマンやピーコックと違って流入経緯はまともだが増えすぎてしまったのか、在来のベリーダが壊滅的な一方でスポッテッドだけはここの他にもフィリピンやミャンマー、アメリカなんかでも移入種として広まっているようだ。
水上ワルンのおっちゃんもベリーダなんていっぱいいるから夜に泊まって釣ればいいという。ここで獲れたベリーダが生け簀に入れられていたがデカい、食べてみたい。
という訳で思い立ったら即行動、翌週末にいっちょベリーダ釣って食べるかと仕事終わりにそこら辺のアクアリウムショップで生餌を買っていざ出陣。
やってきたのは早朝のダム湖、ベリーダ釣りに行くだけなら夕方に来ればいいのだがお泊りになってしまうので運転手さん2往復分の交通費が掛かってしまう。
湖の真ん中にある水上ワルンに行って帰るのにも船頭さんにそれぞれ2日分のお願いする必要があるし、コスパを考えると朝も釣りをしたほうがお得なのである。
朝の五時半に出船、湖畔には既にたくさんの釣り人がいるがみんなピーコックを狙っているらしい。
私も最近はもっぱらピーコックを狙っているがこれが中々難しい、ここのピーコックのセオリーはボトム中心で底が岩場になっている場所のブレイクをスプーンやシンキングミノーで狙う。
現地の情報網が半端なく、前の週に釣れているのを見たら次の週にはそのポイントには大量に人が押し寄せていてスレるのも早い。
そして同じような場所にいるレッドデビルの猛攻が凄まじく、レッドデビルが20匹くらい釣れてピーコック0匹というのがここ最近の釣果だ。
今日も同じような釣果になるかなと思っていたが前の週に強めのアタリがあったポイントで先行者が小さなピーコックを釣り上げ、それを横で眺めていた私にもすぐにいい感じのアタリがあった。
30cmには届かないくらいの食べるにはちょうどいいサイズのピーコック、今日の昼食が楽しみだ。
青い綺麗なやつが釣ってみたいのだがもうちょい大きくならないといけないのか、いつかポロっと釣れることに期待しよう。
その後はやはり釣れまくるレッドデビル、釣れた端からキープしていた船頭さんがおもむろに焚火をして焼き始めた。
周りから人が集まってきて唐突に始まるレッドデビルのBBQパーティー、正直ポイントを移動したかったのだが今日はもうピーコック釣れたしいいかということでどんどん釣って供給していく。
ピーコックを昼の楽しみにしたいから俺は食わねえと訴え続けていたが焼き上がりを手渡されてしまう。
不味くはないんだが塩も何も振っていないプレーンな焼き魚は少し味気ない。
BBQが終わると10時過ぎ、暑すぎて生餌が茹るのが怖いので一路水上ワルンを目指し11時には水上ワルンに到着、早速先ほど釣れたピーコックを調理してもらう。
調理方法は安定の唐揚げ、サイズがそこそこあるので食べ応えがあって美味いがやはり先ほど食べたレッドデビルと同じような淡水魚特有の癖はある。
時間は正午過ぎ、ここで船頭さんとお別れして夜を待つのだが昨晩寝ていないこともあり、すぐに爆睡だ。
水上ワルンは電気もあるしお菓子も冷たいジュースも用意されているので不便は全くない、竹で出来ているので床が硬く、長時間寝ていると体は痛くなる。
途中急激に天候が悪くなりスコールが降り始めた、さっきまで暑苦しかったのに今度は寒くなってきたので近くにいたネコを抱えて暖を取りつつまたひと眠り。
夕方まで降り続けた雨も小降りになり、いよいよ釣りの準備を開始する、といっても泳がせ釣りなので生餌を針に掛けて流すだけである。
今回用意したのは4匹で¥100の金魚(コメット)と少し奮発した1匹¥100のタウェスという魚だが朝から釣りに来て移動中に死なせない為に携帯エアーポンプも購入したのでなんだかんだ結構な出費になってしまった。
準備を終えて軽く竿を出していると夕方までトーマンを狙っていた人たちも水上ワルンに集まってきた、みんなここで夜を明かして連日のトーマン釣行に挑むらしい。
中には日本人の方もおり、通い詰めてこの日大きなトーマンを釣り上げたとのことだ。
まだ水上ワルンを頻繁に船が出入りする為にとりあえず腹ごしらえ、店主さんがベリーダ食ってみるか?と言ってくれたのでお言葉に甘えて調理してもらうことに。
調理方法は当然唐揚げ、ベリーダは元々インドネシアでペンペッやオタッオタッという蒲鉾やさつま揚げのような料理の材料として親しまれてきた。
その理由は骨が多すぎるということだそうだが、練り物に特化した魚と聞いて水っぽい身質を想像していた。
しかし一口食べて驚く、ベリーダめっちゃ美味しい。例えるとというか、まんまカレイの唐揚げと同じ味と食感である。
レッドデビル、ナイルティラピア、ピーコックと同じ日に食べたからはっきりと分かるその違い、淡水魚特有の癖や臭みが一切ないので前者に比べて明らかに美味しく感じる。
骨は確かに非常に多く可食部が見た目に反して少ないが小骨程度なら揚げてればボリボリいける。
いやー、これは蒸しものみたいな繊細な料理に使われるのも納得な味である。ライギョやナマズに続く本当に美味しい淡水魚というものを知ることが出来た。
時間は18:00過ぎ、腹ごしらえも済んで暗くなってきたのでいよいよ本格的に釣りを開始する。風も無風でいい感じだなあと湖面を眺めていると置き竿にしていた仕掛けがすぐに反応を示す。
べにょんべにょんの引き、遠くでジャンプする魚体は50-60cmのベリーダである。良型がこんな簡単に釣れるのかとウキウキで寄せてきていると足元のロープに絡まってしまい、ごちゃごちゃしている内に糸が切れてしまう。
チャンスを逃し残念だが釣れることは分かった、その後1時間もせずにもう一度アタリが手持ちの竿に伝えられる、満を持してアワセを入れるも今度はすっぽ抜けてしまった。中々に難しい・・・
まあこんだけアタリがあるなら釣れるのも時間の問題でしょう、と余裕をかましていると何もなく時間だけが過ぎていく。
時間は既に深夜12時、私以外の滞在者は既に眠っているが私も超眠い、こりゃ次回にお預けかなと竿を置いて寝転がりyoutubeを見ているとすぐ目の前で何かの波紋が浮き上がった。
これはひょっとしてと生餌を手前に寄せてしばらくすると今一度竿がグンとしなる、三度目の正直、今度こそベリーダを釣り上げることが出来た。
最初に掛かったのと同じくらいのサイズ、1mを超える種類で釣り堀だともっと大きいのを釣っているがやはり自然環境で釣ると感慨深いものがある。
その後2時過ぎまで粘るも以降のアタリは無し、風が強くなり少し雨が降ってまた一段と寒くなってきたので納竿する。
分かっていたが夜釣りは非常に疲れる、竹の足場が硬いので座っているだけでも身体中が悲鳴を上げている。
他の仕事があるからと朝の4時には迎えに来ると言っていた船頭さんとの約束の時間になるも来る気配が無く、携帯にも応答が全くない、寝坊したとのことで返事があったのは2時間後だった。
取り残される私にワルンで夜を明かした別の船頭さんが朝一緒にトーマンからのピーコックやろうぜと誘ってくれるがその体力はない。
結局水上ワルンを訪れる漁師さんに岸まで運んでもらい、なんとか帰ることが出来た。
今回の反省点は生餌の種類だ、やはり泳がせ釣りは生餌の元気さが釣果に直結するので金魚ではすぐに弱ってしまうし遊泳力が今一つである。
小さい金魚だとリーダーも20ldで妥協せざるを得ず、もう少し大きくて強い生餌ならリーダーも針も大きく出来たので取り込み失敗もなかっただろうし、もっと釣れたと思う。
金魚の他に用意していたもう一種の魚はいい感じだったのだが、数匹しか用意していなかったのでキャストミスや仕掛けが他の竿と絡んで外れてしまい、そのポテンシャルを発揮する前にいなくなってしまった。
次やるならちゃんとコイの小さいのを注文して用意してから挑もう。メーター級の大型狙いならデカい生餌を泳がせても良さそうだ。
ともあれ1日に外来種のフルコースを楽しめた良い釣行でした。夜釣りは疲れるけど普通に釣れることが分かったし、また機会があれば今度は大型を狙ってやってみたい。
コメント
ピーコックバス釣ってみたい魚です
ボトムを叩く感じで釣るんですかね?
釣りたい魚が多くて困りますね
言葉が話せれば毎週でも通ってしまいそうです
日本のノマセだと現地調達が一番なのですが
ティラピアとかは釣れないのでしょうか?
それか養殖池のおっちゃに売ってもらうとか
それができれば確保も簡単ですし釣果も伸びそうです
コメントありがとうございます!!
現地の方が推奨しているのはルアーを深場に投げて着底させてから巻き始めて岩場のブレイクを狙う感じですね。
他に良いアプローチもあるのかもしれませんが、フォール中にレッドデビルが先に食いついてしまったり中々難しいです・・・
泳がせの生餌は水上ワルンの養殖池にも丁度いいサイズのコイがいたのですが、アクアリウムショップに売る為のようで餌にするにはもったいない価格を提示されました。
ティラピアも釣れないこともないとは思いますが簡単では無いですし、生餌として適切なサイズを揃えようと思えば街でも養殖池でも予め事前に注文するのが一番だと思います。
ブカシからは近いですし船頭さんも普段から外国人ばかり乗せているので英語でも全く問題無いと思います!!
敷居はそんな高くないと思いますので是非挑戦してみてください!
お疲れさまです
ベリーダ、わたくしも食べてみたいものです。マトウダイに似てるのかなと思いましたが小骨が多いとのことで全くの別物ですね
わたくしはホーチミンから無事に帰宅したものの全力ではっちゃけた疲れと日本の冷え込みにやられ風邪をひいてしまいました😷😷
コメントありがとうございます!!
ベリーダは食感、味共にカレイとしか言いようが無かったです。笑
こちらも毎日雨で外出が億劫になってきました、体調を崩されているとのことでご自愛ください!!