インドネシアは祝日が土日に被ると振り替え休日は無い。それゆえに土日を挟む三連休はレアだ。
そしてついに来た三連休、ラマダンに辟易としたストレスをぶっ飛ばす為に旅行をすることを決意した。

リアウ諸島州バタム島、シンガポールからフェリーで40分というこの島は工業特区として税優遇措置などが取られ、日系企業の工場が幾つか進出する他にビーチリゾートやゴルフ、歓楽街といった観光に特化した島でもある。

要するにシンガポール人やマレーシア人がハメを外しに来る島であるが、ここに来た理由はもちろん釣りである。

レバランに日本に帰れないならどっかリゾートでも行こうと調べていたら見つけたこの釣り堀、レバランは他に行きたい所があるのでこの3連休でサクっと行ってしまおうということだ。
ちなみに日本人駐在員の方や現地の友達を色々誘ってみたが皆予定があったり断食を理由に断られ、あえなく一人旅となった。

ジャカルタから飛行機で1時間半、正午過ぎにバタム島に到着した。飛行機の航空券は片道¥5,000くらいだった。
規制が緩和されて検査が必要無くなってからは3回目のワクチンさえ打っていればめちゃくちゃスムーズに飛行機や電車に乗れるようになった。
この日はインドネシアは祝日だが日本は平日、飛行機から降りると大量の仕事のメールが入って来たのでとりあえずホテルにチェックインして仕事を片付ける。

バタム島で最も発展した繁華街の名前はナゴヤ、昔駐屯していた日本軍が名付けたと言われている日本とも所縁のある地域だ。
ホテルで仕事を片付けると午後の14時過ぎ、本番は明日だと思っているが今日も様子を見に行こう。

Grabアプリで簡単に運転手が捕まったので一路今回の旅の目的である釣り堀を目指す。
繁華街のナゴヤからは1時間かからないくらいだろう。

バタム島からは島と島を繋ぐ大きな橋が6つあり、全てBalerang橋という名前が付けられている。
今回の目的地はBalerang4のすぐ近くだ。

釣り堀に着いたが客はおろか店員さんも誰もいない。
大きな声で叫んでいるとオバチャンが出てきて受け付けをしてくれた。

事前に電話確認していたが料金は3時間で約¥3,000、餌は¥500、ルアーもシングルフック1本ならOKである。
インドネシアで今まで行った釣り堀の中では最も高額だ。流石シンガポール人御用達。
しかしながらインドネシアで駐在している日本人が毎週のように行っているゴルフに比べれば安いものである。

キャディさん呼んだからちょっと待ってなと言われたのでタックルを準備する。
ここの対象魚はハタ、バラマンディ、マングローブジャック、一匹だけどデカいサメもいるらしい。
池は4つあり、手前に小さい池2つ、奥に大きな池2つでデカい魚がいっぱいいるのが奥の池、受付から向かって右側が、超大物多数らしい。

100kg超えのハタもいるという話だが真偽は定かではない。しかし超重量級が相手ということで私のタックルで闘えるかは不安だが出来るだけの用意はしてきた。

今回はFinchカナリア610Mにカルコン200、PE6号に80ldリーダーを付けている。
キャディさんが来たので一緒に奥の池に向かう。
池の岸辺で大きなマングローブジャックが背中を出して留まっているのが見えたので遠くから池の真ん中にルアーをキャストをして巻いているといきなり竿が引き込まれた。
なんだこれ、めちゃくちゃ引く!慌てて池まで走って耐えていると驚きの光景を目の当たりにすることになった。

ものすごい勢いで引き出される糸、まともにやっていると竿が折れそうと思える引きに翻弄されていると足元に大量のハタが集まってきた。
多分今釣れているのもハタなんだろうけど、これはもしかしていくらでも釣れるんじゃないだろうか。
私が移動すると大量のハタも付いてくる。完全に人馴れしているようだ。
挙句には絡んだ糸を外そうと網の柄を水中に入れるとそれにすら噛みついてくる。

この釣り堀が超イージーであることを確信する。そうこうしている内に魚が上がって来た。

最初の1投目からメーターオーバーのハタが釣れた。インドネシア語ではkerapuと呼ばれるハタだがこれは中国とかマレーシアで養殖されているタマカイとアカマダラハタの交雑種、ドラゴンタイガーグルーパーとかハイブリッドグルーパーとかいうやつだろう。

キャディさんは40kgと言っているがそんなに無い気はする。よくて20kgあるかくらいじゃないだろうか。
80ldリーダーがズタボロになった。とにかくデカい、そして怖くなってきた。

目の前には50cmから80cmくらいのハタがウヨウヨいる。ルアーだろうが何だろうが動いているものに速攻で飛び掛かってくる。
引きは特大のレッドテールを釣った感じに似ているだろうか。流石に目の前で何でも食う魚を釣るのはつまらないので池の真ん中にキャストをして沈めてからリフト&フォールを繰り返す。
デカいのは深場にいるとキャディさんが言った直後ガツンというアタリと共に竿が引き込まれる。
さっきより更に強い、これはヤバいと耐えていると糸がプツっと切れてしまった。リーダーを交換したばかりなのに何てパワーだ。

既にタックルパワーの不足を実感している。岸際の小さいのならこれでも十分だが、竿はともかくリールが200番はちと弱い。糸もPE8号に100ldリーダーぐらいでいいんじゃないだろうか。
100kgクラスも本当にいるらしく、掛かっても上がらないから水中で写真撮って放すらしい。
水に入ったらいっぱいいるハタに噛まれそうなんだけど、まあデカいのはこのタックルじゃ無理ゲーだろう。

沖でも岸近くでもハタの猛攻は凄まじい。アベレージでも10kgは確実にありそうなので汗ダクになる。

岸際で付いて来てアーンしているハタを避けながら投げてもやはり釣れるのはハタ、そしてデカい。
こうなってくると別の魚が釣りたいのだが、マングローブジャックを見つけてキャストしても遠くからハタがダッシュしてきて食ってしまう。

完全な接待釣り堀である。とにかくデカい魚の引きを味わいたいなら最高だが、やはりハタだけで、しかも際限なく釣れるとなると考えさせられてしまう。
ハタなら釣ろうと思えば100匹でも余裕で釣れる。しかしMAXサイズ級のバラマンディもいるとのことでそっちが釣ってみたい。

池は水深が8mまであるとのことで、ルアーも沈むタイプが良いと思われる。
まあ、ハタ釣るなら何でも釣れるんだけど…

一度60cmくらいのマングローブジャックにワームを食わせるのに成功したが途中でバレてしまった。
折角の新しい魚種を追加するチャンスを逃してしまう。

餌を注文していたが結局使わなかった。もう日が暮れて来たのでこの魚はハタとずっと付いてくるネコにあげて帰ることにする。

帰ろうとしてグラブタクシーが全く捕まらないことに気付く。近くには何も無いので近くの運転手が見つからないのだ。アプリを変えてもクルマもバイクも全く捕まらない。
これはやってしまったなと途方に暮れているとキャディさんが断食明けの食事から帰って来たのでアプリで捕まるとこまでバイクで送ってくれるという。

橋を2つ程渡ったところでグラブタクシーが捕まり、ホテルに戻って来れた。
時間は夜の19:30、風呂に入って汗を流し飯を食いにホテルの外に出る。

ホテルから歩いて数分の所にフードコートがあった。ナゴヤではこのようなフードコートが各地にあり、色々な食事を楽しめるらしい。

バタム島はほぼシンガポールの植民地とのことで食文化もマレーシア、シンガポールに寄っている。
バリ島のような光景だがシンガポール、マレーシア色が強いインドネシアであって異色な文化である。
どの出店で食ってもハズレは無さそうだが、今日はアレを食うしかないだろう。

今日散々釣ったハタを見ていて食いたくてしょうがなかったので見つけてすぐに食べたいと言ってみる。
しかし何と一匹¥3,000、半身とかでも注文出来ないらしく、食いきれないなと泣く泣く諦める。隣のバラマンディも同じくらい高かった。

とりあえず豚肉屋で適当に生姜炒めと中華炒め、白飯を頼む。中華風は八角がかなり効いててイマイチだったが生姜炒めが超絶美味かった。
満腹になり疲れ果てていたのでそのままホテルに直行する。

さて、釣り堀がこんなイージーとは思わず、今日の様子見で堪能してしまったがどうしよう…
3時間じゃ一匹も釣れないんじゃないかと明日は一日釣りをするつもりでいたが、相当な想定外だ。

折角バタムまで来たしもう一生来ないだろうし、朝イチにデカマンディ釣りに行くぜ!
昨夜はホテルに帰って速攻寝て朝の5時に出発。昨日の反省点を活かし、今回はグラブの運ちゃんに交渉して往復運賃プラス¥1,000で三時間待ってもらう。
しかしここは移動に関してはある程度インドネシアに慣れていないと中々難易度が高そうだ。

小降りの雨が降っているが天気雨だし問題無いだろう。
オバチャンを呼んで料金を支払ってルアーをセットして釣りを始める。

岸際はハタに占拠されているのでとりあえず中心に向けてキャストキャスト!オグルのリフト&フォールにガツンとアタリ、合わせを入れる。



やっぱハタしか釣れない!竿折れそうで基本指ドラグなので擦られすぎて親指の指紋が無くなりそうだ。
キャディさんが餌試してみろよ、というので餌のぶっ込みに切り替える。何でも最近女の子が20kg超のバラマンディを餌で釣ったらしい。

餌を付けて出来るだけ遠くに投げて数分、糸が走った。アワセを入れてファイトを始めると異次元の引きが襲って来た。
岩が動いているような、ビクともしないが確かに動いてはいる。ソレが移動を始めると竿を立てることも出来ず、なす術が無い。どうやらかなりデカいハタが食ったようだ。
これは無理だ、何も出来ないと絶望しているとワイヤーが切れてしまった。もとより今のタックルだと厳しいなとは思っていたが、ここまでか。

気を取り直して再度餌を投入、糸が走るとやはりデカいハタが食ってくる。残念ながらタイムアップだ。
思い付きから即行動に移してやって来たバタム島の海水釣り堀、おそらくインドネシアで唯一のキャッチ&リリース方式のグルーパーポンド。
デカいバラマンディが釣れなかったのは悔しいが、一投一匹という凄まじい釣り堀でした。

- Balerang Fishing Pond
- バタム繁華街ナゴヤより車で40分
- 帰りの移動手段に注意が必要!
- 料金3時間約¥3,000
- 餌代、貸し竿各¥500
- ルアー可、シングルフック1本にバーブレス
- 針は太軸、リーダーは100ld超でもいい
- 相当ヘビータックルじゃないとキツい
- 営業時間、毎日24時間(キャディさん次第)
- 併設ホテルに泊まって夜釣りも可能
- 周囲には店など何も無し

コメント
いつも淡水釣りやられてるのでハタって淡水にもいるのか?
またはハタって名前だけで日本のハタとは別物か?って思ってたら
海水のハタだったんですね 釣り堀ぱっと見た感じいつもの
淡水釣り堀に似てたので 日本の海水釣り堀のイメージって海の上でイカダに繋がった
網の囲いの中でするイメージだったもので
しかし、ハタうようよ泳いでる姿は圧巻ですね!
オカッパリで釣ってみたいものです。
コメントありがとうございます!
私の実家の近くには安戸池という青物の釣り堀ありますが、そこもこんな感じですね。
日本のは渋いですが…
和歌山の磯とかいけば陸っぱりからクエとか釣れそうですが、取り込みの難易度が全然違いそうです。