※2022年11月、マイクロポンドは閉鎖になりました
多くの釣り人にとってのバイブルになっている漫画、釣りキチ三平に”小さなビッグ・ゲーム”というエピソードがある。
ビッグゲームを求めて世界を釣り渡るアメリカ人のジャックが主人公の三平に日本のビッグゲームの紹介を依頼するがタナゴ釣りをすることになる。
最初は不満を言うジャックだったがタナゴ釣りの奥深さにのめり込んでいくという話だ。
マグロとかを釣りたいメリケン野郎にタナゴを釣らせるなんてリアルなら流血沙汰不可避だが、釣りに序列貴賤なし、どんな釣りにもそれぞれの楽しみ方があるという三平らしい釣りの教訓とも言える名エピソードである。
怪魚釣り堀ではもう新しい魚種に出会え無くなってきた昨今、変わった魚に出会う為に私もマイクロフィッシングを始めることにした。
釣具屋に行くとタナゴ仕掛けは竿や餌含め全部で¥2,000もせずに揃えることが出来た。
インドネシアでもTanagoという言葉は普通に使われており、マイクロフィッシングのことを指している。
主な対象魚はグラミーやラスボラなど、割とポピュラーな釣りとして親しまれているのだ。
新しい道具を買うと試したくなるのは世の常、釣具屋から帰ったらホテルの部屋で準備をしてその日の内に釣りに行く。
この日は出張でソロに休日から前乗りしており、グラブタクシーで以前見つけていた小魚がパシャパシャしているドブに向かう。
つい最近まで60ldの糸を使っていたのにいきなり2ldになると違和感はあるが練り餌を針に付けて放り込むと浮きが一瞬で沈んだ。
以前仕事の時にたまたま通りかかった場所だが、その時はグラミーが浮いているのが見えたので期待したが釣れたのはキノボリウオだった。
キノボリウオはグラミーやベタの仲間であり、インドネシアではIkan Betok(べトック)と呼ばれている。
ここまで乗せてってくれた運ちゃんに釣りに行くと告げると見てみたいと言うので着いてきていたが、私があっという間に釣れたのを見て自分もやってみたいと言う。
運ちゃんはキノボリウオを持って帰って揚げて食うと次々とキノボリウオを釣っていく。私は横で練り餌を付ける係になってしまった。
可愛い女の子の接待なら喜んでするが何故オッさんの接待をしているのだろうかと自問自答、まあこういうこともあるだろう。
なんだかんだで私は全然釣りをしなかったが釣れるということは分かった。
週末にバンドンに帰ったら水路を探しに行こうと考えているとスラバヤでの商談が急遽金曜日に入り、早朝の列車で向かうことになった。
スラバヤに行くということは週末はあそこに行くしかない!
東ジャワに来たなら絶対に行きたいMonstero、実は私がマイクロフィッシングを始めた理由はここに最近マイクロフィッシュ専用の釣り池がオープンしたからなのだ。
インスタのストーリーでやたら小さい魚ばかりを放流してると思ったらまさかの新しい釣り池だった。
色々と水路で試してから最後に来ようと考えていたが、まさかいきなり来ることになるとは。
今年はもう連休が無いことを考えると絶好のタイミングではある。日曜日の昼にはジャカルタに行かないといけないので土曜日の一日だけだが釣り倒そう。
新しい釣り池は大きなUL池の裏側、先週Omah kolamに行ったのでカナリア610Mもあり、浮気も可能だが今日はマイクロフィッシングに専念しよう。
なんとこの釣り池には52種類もの魚が入っているというのだ。これは期待しかない。
まだキノボリウオを釣った実績しかないが、ぶっつけ本番でチャレンジしてみる。
池は小さな魚が沢山パシャパシャしている。練り餌を投入するが餌だけを取られて全く針に掛からない。
練り餌の大きさを極小に調整しながら試行錯誤しているとやっと何かが針に掛かった。
何か見たことある魚が、いやまさか、でもやっぱりこれはあれだ、カダヤシだ。
インドネシアのドブにいっぱいいるのは見ていたが人生でカダヤシを釣る機会があるとは。
KhusnulさんにMonstero行こうぜと誘ったら仕事だからと一蹴、代わりにいつもここで会うDjuliさんとWapuさんがやって来た。皆マイクロフィッシングにハマっているらしい。
練り餌では中々針掛かりしなかったが持って来てくれた虫餌と重りを使わせてもらうことで状況は激変した。
虫餌は小さなサシだったが、針掛かりがバツグンに良い。そして色々な魚が次々と釣れてくる。
これは最高に楽しい。
釣具屋で丁度いい小さなガン玉が売ってないなと悩んでいたが、板状の鉛を千切って使うということも教えてもらった。
やはりインドネシアの釣りは現地の上手い人に聞くのが1番である。
ここのオーナーであるアンディさん、熱帯魚大好きとのことで流石に詳しい。釣り上げた魚の写真を見て全ての名前を教えてくれた。
ここはまだ釣り池として解放されていない池が沢山あるので今後の進化に更に期待だ。
本当に色々な種類の魚が釣れる。アルビノや同種の色違いも1種類としてカウントしているがそれでも多種多様である。
初めてテッポウウオも釣れたが写真を撮る前に針から外れて水に落ちてしまった。非常に残念である。
このマイクロフィッシングポンドで1番多い魚はこのスリースポットグラミーである。
そこら中で空気呼吸の為に色とりどりのグラミーが上がってくるが釣るのは非常に難しい、中々餌を食わないのだ。
それでも色々と試行錯誤をして釣れると嬉しい、餌も米や果物など色々と試すのもいいかもしれない。
ちなみにインドネシアでGurame(グラメ)はジャイアントグラミーのみを指し、小さなグラミーはSepat(セパット)と呼ばれている。
あっと言う間に夕方になった、8:00に来たが熱中しすぎて8時間ぶっ通しで釣っていたようだ。
マイクロフィッシュポンドは17:00までとのことだが既に16:00を過ぎていたので終了することにする。腰が痛い。
個人的にインドネシアで1番の怪魚釣り堀と思っているMonstero Fishing Parkに新たに加わったマイクロフィッシングポンド、知らない魚が次々と釣れるという体験は最高に楽しかった。
しかしDjeliさんが虫餌を持って来ていなかったら印象はまた変わっていただろう、今度来る時はスラバヤでの餌の準備というものが課題になって来ると思われる。
鳥屋さんで虫餌は買えるが運転手さんに交渉して道中に購入する必要がありそうだ。
とはいえ絶対にまた来たいので虫餌も色々と違う種類も試してみたい。
初めて体験したマイクロフィッシング、釣り味は確かに怪魚には敵わないが生き物が好きな私にとっては小さな宝石のような魚達との出会いはかけがえのない体験となった。
これからも新たな魚種との出会いに向けて新しいことに挑戦してみたい。
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