ベリーダという魚について

ベリーダってどんな魚?

ベリーダという魚についてご存知だろうか?

このブログでは散々書いているがベリーダ、もしくはベリドとはナイフフィッシュ、フェザーバックとも呼ばれるインドネシアやマレーシア、タイ周辺国などの東南アジアから南アジアに生息するアロワナ目ナギナタナマズ科の魚のインドネシアにおける呼称である。

カリマンタンの市場で見たベリーダ

その魚体は他の魚とは一線を画する異様さで縦に平べったく、頭の後ろから湾曲した背中はナイフや羽にも例えられる。アフリカ大陸にもアフリカンナイフという近縁種がいるが、ここではアジアンナイフフィッシュについて言及したい。

淡水~汽水域に生息し、雨季には氾濫原の湿原や湖沼などの非流水性の水域に留まり産卵を行い、乾季に川に戻ってくる移動性の強い魚である。

夜行性で食性は肉食、小魚に甲殻類、昆虫類を捕食し、アロワナ目の他の魚同様に空気呼吸も行うが普段は底生である。

カリマンタンにて釣獲されたベリーダ

釣魚としてのベリーダは乾季の川に戻った時が狙い目で、浅い所にいるベリーダをミノーなどのルアーで狙える他、雨季の湖沼や深場にいるベリーダに対してはクランクベイトなどの深く潜るルアーやナマズのような底生の魚を生餌に夜釣りで釣れることが多いとのことである。

YouTuber のpujiさんが釣ったベリーダ、こんな浅瀬で釣れるのね

インドネシアの怪魚釣り堀でも少なからず入っているが、タイ産のChitala ornata、(スポッテッドナイフ)に限られている。

Chitala ornata、外来種として定着している場所もある。

ベリーダ/ベリドという呼称が用いられるのはインドネシア、マレーシアのみであり、その名前の由来はスマトラ島の生息地であるベリド川にちなんだものであるとされている。

他にもインドネシア語で「骨の舌を持つ」という意味のBerlidah(ベルリダー)Tulang(トゥラン)から来ているなど諸説もささやかれている。

平たい魚という意味のIkan pipih、(イカンピピー)というざっくりした呼び名も用いられることがあるが、カレイとかも同じ呼び名が用いられる為にベリーダが特別な呼称となる。

ベリーダのすり身とデンプンを混ぜて揚げるペンペック、通販で買える

東南アジア諸国では食用水産資源として重宝されており、インドネシアでもペンペックという練り物を揚げた料理やスナック菓子の原料として親しまれているが、生息数の減少と共に現在はサバヒーで代用されているとある。

空港で売っていたベリーダのお菓子、薄味で魚の風味が際立つ。素朴な味で美味しい

初めて写真を見た時は本当に驚き、こんなかっこいい魚がいるのかと以降虜になってしまった。私の怪魚道はこの魚から始まったのは間違いないのである。

顔付きは結構イカつい、バラマンディに似てるかも

そんな私の大好きなベリーダであるが、インドネシアには4種類のベリーダが在来種として、そして1種が外来種として生息している。しかし、この魚について知りたいと思えば思うほど分からないことだらけなのである。

Chitala Lopis

Chitala lopisの画像、インドネシアのサイトより

チタラロピスはスマトラ島、カリマンタン島(ボルネオ)、マレー半島からタイなどのメコン川流域周辺国に生息するナイフフィッシュの最大種である。

Fish Baseによれば150cmにまで成長すると書かれているが、タイのダム湖で釣獲された140cm, 13.6kgという記録が信用出来るデータの中で最大のようだ。

めちゃくちゃかっこいい、khusnulさんが羨ましい

ジャイアントフェザーバック、ジャイアントナイフフィッシュ、ベリーダロピスという呼称が用いられ、インドネシアでも食用として扱われてきた魚であるが、目下絶滅の危機に瀕しているとして保護動物のカテゴリーに入っている魚である。

Chitala borneensis

Chitala borneensisとされている画像、インドネシアのサイトより

チタラボルネンシスはインドネシアのみに生息するナイフフィッシュとしてインドネシアンナイフフィッシュやベリーダボルネオという呼称で呼ばれている。

生息域はスマトラ島、カリマンタン島などと記載されているが、カリマンタン島固有の種であるという見解もある。

また、本種は上記のチタラロピスと混同されていた過去があり、後に細分化された種であるとされている。つまりチタラロピスとよく似ているということだ。

Fish Baseによると最大サイズは50cmほどで他のサイトでは尾の付近にタピオカ状の斑点が成魚になるにつれて現れてくると書かれているが、ネットで探しても詳細な記載や画像が全くなく、これがチタラボルネンシスであるという確信に辿り着ける情報は人づてでも見つからないのである。

Chitala hypselonotus

Chitala hypselonotus、インドネシアのサイトより

チタラヒプセロノトゥスはボルネンシス同様にインドネシアのみに生息するナイフフィッシュとしてインドネシアンナイフ、ベリーダスマトラという呼称で呼ばれている。

スマトラ島を象徴する魚となっている。

スマトラ島パレンバン県のモニュメントにもなっているのはこの種の魚であると思われるが正直上記2種との違いに関しての詳細な画像やデータ、記載はずっと探しているが見つからないので分からない。

上記の画像だけで見れば背の湾曲が控えめでシュッとしているがベリーダスマトラで検索してもこの画像以外のこれがそうであるというものが無く、成長過程で魚体がどのように変化するか、成長時の種独自の特徴などが分からない。

Fish Baseには最大100cmと書いており、スマトラ島、カリマンタン島に生息しているとなっているのだがチタラロピスと本種を識別する為の明確な違いを見出すまでには至れないのである。

Notopterus notopterus

Notopterus notopterus、体色に特徴がある。インドネシア のサイトより

ノトプテルスノトプテルスはインディアンナイフフィッシュ、ブロンズフェザーバック、ベリーダジャワという呼称が付けられている最大60cm程にまで成長するナイフフィッシュである。

インドネシアだけでなく、東南アジアや南アジアに広く分布しており、タイやベトナムでも食用として流通している魚で養殖もされているらしい。

アクアリウムショップでも販売されている

上記3種が明るい銀色の体色をしているのに対し、本種は暗い青銅色や銅色、黒っぽい色をしている個体があり、ブラックナイフフィッシュという呼び名で観賞用としても販売されている。

日本のアクアリウムショップで販売されているボルネオブラックナイフもチタラロピスではなくこの種である可能性が高いと私は考えている。

中部ジャワのダム湖で網に掛かったベリーダジャワ

ベリーダジャワという呼び名の通りジャワ島でも生息しており、東ジャワのブランタス川流域を中心に一定の漁獲量が上がっているがジャワ島ではスマトラ島程の漁獲高は無かったことからそこまで食用として広くは流通していない魚である。

上記の4種に関してはサイズ、体型や顎の形状、体色、側線などで種を分類する見分け方があるはずなのだが、頼みの綱のKhusnulさんや熱帯魚大好きのMonstero Fishing Parkのオーナーに聞いてみてもはっきりとした回答が得られなかった。

唯一の外来種であるチタラオルナタはジャワ島のダム湖などで放流され、定着している場所もあるが特徴的な斑点で見分け方が容易である。

イラストは出てくるが実際の写真が少なく、正誤の判断がつかない

特にチタラボルネンシスとチタラヒプセロノトゥスに関しては何が正しい情報なのか本当に分からないのである。

それはインドネシアの人たちにとっては全部ベリーダじゃんという些細なことかもしれないが、どうしてもこの違いが気になってしまう。

Chitala Lopisが絶滅した?

日本では何故か絶滅したということになっているチタラロピス、もちろん私は市場でバッサバッサ三枚おろしにされている光景を目の当たりにしているのでそれが間違った認識であるということは分かっているのだが、何故そのような誤解が生まれてしまったのか。

その理由はIUCN(国際自然保護連合)が2019年に発表したチタラロピスの絶滅宣言である。ただこの宣言はジャワ島でのチタラロピスが160年間発見の報告がされていないということに基づいた宣言であり、インドネシアの他の島と他国について言及したものではない。

カリマンタンでは今も普通に獲れている

しかしながらネットを調べていると本当にジャワ島でも絶滅したのか疑問に思えるような報告がちらほら見られる。

Facebookなどの投稿ではそこそこデカいサイズのベリーダを抱えた写真が上がり、その投稿にはどこどこで私も大きいの釣ったみたいなコメントがかなりついているのである。

もちろんそれらはノトプテルスノトプテルスか外来種のチタラオルナタだろうなと思われるものがほとんどであるが、2019年にタングランの地方紙に22kgのベリーダが捕獲されたというニュース記事が見つかった。

まさか世界記録ぶっち切りのサイズがジャワ島で釣れたのかと記事を見てみたが、問題の魚の写真はどうみても22kgというには盛りすぎに思える。

確かに大きいがいいとこ6-7kgくらいに見える

釣った魚を計測していると分かるがメータークラスの太さもある魚で10kgいくかなって感じだ。ましてやベリーダみたいなペラペラの魚で22kgとなると馬鹿デカいサイズが必要である。

しかしながら画像の魚体はかなりの大きさからもチタラロピスを思わせる風貌である。外来種として定着しているスポッテッドも大きくなると聞くが、目立つ斑点が特徴であることからも違うようだ。

しかもタングランみたいな汚い首都圏の川で獲れたとのことで、夢のある話だ。

残念ながら画像のベリーダは美味しく頂かれてしまったらしいが、記事に付いたコメントにも付近の川で釣れているというものがあり、未だジャワ島のチタラロピスが絶滅したとは完全に言い切れないかもしれない。

だってこの国の人たち、本当に適当なんだもの

保護種としてのベリーダ

昔はインドネシアで年間に何十トンも漁獲されていたベリーダであるが、現在では乱獲と環境破壊による産卵場所の減少からその数はどんどん減っており、今では4種とも絶滅危惧種に指定されている。

政府指定保護魚種、他にノコギリエイやシーラカンスも名を連ねる

特に昔からベリーダを名物として獲り続けてきたスマトラ島ではその減少傾向が顕著であり、リストに記載されている4種のベリーダの捕獲と販売に対する罰金や懲罰が2021年に定められた。

確かにネットの観賞魚用のサイトなどを見てもチタラロピス、チタラボルネンシス、チタラヒプセロノトゥス の3種を販売している業者は見つからなかった。

PLGKで釣ったChitala ornata、ベトナムでは養殖も盛んだ

観賞用としては他国から来たスポッテッドナイフフィッシュやロイヤルナイフフィッシュ、インディアンナイフフィッシュ(ノトプテルスノトプテルス)のみがインドネシアでは流通しているようだ。

Chitala blanci 、ロイヤルナイフも観賞魚として人気

チタラオルナタが他国で養殖されてるならチタラロピスとかも養殖すればいいんじゃない?って思ったがその試みはすでにされており、コストが見合わないという理由で2005年に頓挫しているようだった。

この国の人はリリースという概念が無いので日本のアカメのように釣り人の努力でバランスを保つことは無理である。インドネシアにおけるベリーダの未来は明るく無いのだろう。

ここまでにインドネシアにおけるベリーダという魚に関してはその知識を得ようと色々な人に情報を訪ねたりネットで調べまくっているが満足のいく解答が無いことが非常に歯痒い。

そのことをKhusnulさんに嘆いていると「じゃあ、一緒にベリーダ釣りに行って違いを探そうぜ、答えはお前が見つければいいじゃん」という非常にカッコいい言葉が返ってきた。

Khusnulさんの釣ったベリーダ、飛行機で持って帰って食ったらしい

ベリーダなんていい時期にいるとこ行けばいくらでも釣れるよ、ということではあるが絶滅危惧種を釣り堀以外で進んで釣るのは若干気が引けるし、答えが分かる日は来るのだろうか。

このブログの為に書いてもらったイラスト

誰か詳しい人いたら教えてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました