プルワカルタのダム湖にベリーダを釣りに行ってきた。

釣行記

今年の始めにプルワカルタのJatiluhurというダム湖で見事にボウズを食らったが、釣りの最中に非常に気になることがあった。

頻繁に水面に上がってくる魚を見てあれは何だと船頭さんに聞いていると、ベリーダという返答があった。

ベリーダロピスか?と聞くとベリーダバンコクだと言う。

Chitala ornata

ベリーダバンコクとはスポッテッドナイフフィッシュ、もしくはクラウンナイフフィッシュと呼ばれるタイ及びその周辺国が原産の魚だ。

マレーシアやアメリカの一部でも移入種として定着していると聞いていたが、まさかこんなとこにも外来種として定着しているとは。

ベトナムなどでは養殖もされており、水産資源として重要な役割を果たしている魚だが、インドネシアでも在来種のベリーダのすり身を揚げてポン酢のような甘酸っぱいタレで食べる、ペンペッという料理が古くから親しまれてきた。

そんなベリーダもインドネシアにおける在来種は絶滅危惧種として今は保護対象になっているが、外来種であるスポッテッドはそこに含まれない。

PLGKにて、大きなものは1mを超える

気になってYouTubeで調べてみると確かにここで釣れている、しかも観る動画のほとんどでベリーダは絶滅危惧種だからリリースしなければいけないとインドネシア人にあるまじきリリースがなされていた。

新聞会社のインタビューで地元の人がこれが絶滅危惧種のベリーダだと家の池から取り出し、保護すべき魚と紹介していたのもスポッテッドだった。

……それ外来種ぅー!

スポッテッドはどこでも売っているが在来種の販売は禁止されている。

ベリーダの釣り動画を漁りまくっていると本来の絶滅危惧種である在来種のベリーダは釣ったそばから持ち帰られているのに外来種がなぜか丁重に扱われている。

大型のフィッシュイーターであるスポッテッドナイフの流入を助長することでインドネシア古来の在来種に多大な影響があるという考えには至らないのだろうか。

しかしこれは知識が無いというより、ただ魚の種類に関心が無いだけでこの国の人にとってベリーダはベリーダに過ぎないということであろう。

スポットマークの無いのが在来種、カリマンタンの市場にて

私も既に釣り堀でスポッテッドは釣ったことがあるが、このブログのアイコンにする程好きな魚だし、何より外来種ならインドネシアの法に触れることもない。

これは挑戦するしかない!

インドネシア風さつま揚げペンペッ、今はサバヒーが代用魚

何なら釣って持って帰って食ってやろう。すり身にするのが基本の魚ということで小骨が多いのはお察しだが、ペンペッは超美味いので問題ない。

2か月振りの訪問!

やっと釣りに行けることになったが、話が纏まるまでに紆余曲折があった。

前回訪問時に船頭さんに番号を聞いて連絡を取るも音信不通とドタキャン続きで計画を立ててから一ヵ月かかってしまった。

ともあれやっと釣りに行ける日が来た。ここでのベリーダの釣りに関してはこれと言った先人の知恵は無く、釣ろうとしても釣れない超難しい魚だと言う。狙っても釣れないし、むしろ誰も狙わないらしい。

こんなのが釣りたいぜ!

確かにこのダム湖の動画で観たものは全てティラピア釣りの外道で釣れているようで、私もそれを参考にミミズや金魚などの餌をあちこち回って準備してきた。

カリマンタンでベリーダを釣っている動画ではエビばかりを餌にして釣っていたが、流石にそこら辺のドブでガサガサする時間は無かった。

自宅を朝3時過ぎに出て待ち合わせ時間の5時に現地に到着した。周囲はまだ真っ暗だ。

Bufo melanostictus 粒マスタードみたいなヒキガエル

不穏なのは出発前と到着後に船頭さんに今日はよろしくとチャットを送ったのに全く返事が無い。

明るくなってきた

夜行性のベリーダを釣るには朝マズメが一番の機会と考えていたのだが、船頭さんからの返事は無く周囲はどんどん明るくなってくる。

鬼電を入れまくっていると今起きたというチャットが来た。

早く釣りがしたい

今から準備して行くわ、ということだが出発場所は船頭さんにしか分からないのでタックルの準備も出来ない。

写真撮るくらいしかすることが無い
ねこ

誠に遺憾砲を発射したい衝動に駆られるが、折角来たのに釣りが出来ないという最悪な状況を避けられたことにとりあえず安堵する。

船頭さん到着!到着!到着!
ホテイアオイがびっしりだ

船の停めてある場所に到着しタックルの準備を始める。今日は餌釣りに少しでも可能性を高めようと竿も3本用意してきた。

デカい船の前にある小さい船に乗る

船に乗る瞬間は今も慣れない、叶うならばオカッパリが1番いいのだが、ベリーダを釣る為なら仕方無し。

前回の船が異様に小さかったので今日の船はまだマシに感じる。

出航おおおお!

自分なりに立てた作戦は空気呼吸を行うベリーダを探し、呼吸打ちで針のみの泳がせ仕掛けと底生の為に急速潜航したベリーダをオモリを付けた泳がせ仕掛けでサンドイッチするというものだ。

最近使ってなかったスピニングも導入

もう一本はミミズを付けて放り込んで他の魚でも何でも釣れればいいやという感じだ。

先ずはコーヒータイム

船頭さんをしてもベリーダの釣りは分からないとのことで、取り敢えず情報収集も兼ねて水上で屋台を出している所に船を着けて話を聞く。

ベリーダ?その辺にいっぱいいるぞ、ということなのでコーヒーブレイクをしながら仕掛けを投入する。

超地味な釣りだ

分かってはいたが変化が無いのでかなり忍耐が問われる釣りだ、船頭さんはハンパラが釣りたいとハンパラのライズばかり探している。私もルアーでランガンしたくなってきた。

ちなみにここで餌釣りしたらどんな魚が釣れるんだ?と聞いてみたら夜釣りならウナギとかナマズも釣れるとのことだ。

パンガシウスや複数種のシクリッドにトーマン、ベリーダなど移入種が多すぎてここの生態系はめちゃくちゃだが、釣ったことの無い魚がいるなら見てみたいものである。

生き餌は沢山用意してきた

ベリーダのライズは時折あり、船頭さんや水上家屋の人達がそこベリーダ出たぞ!と教えてくれた所にキャストして待つが時間だけが過ぎていく。

まったりした釣りだが、釣果が無いと気持ちが焦る

ミミズにも反応は無い、レッドデビルがふよふよ浮いている目の前に置いても無視である。

船頭さんがハンパラ行くか!と何度も言って来るので気分転換に場所を変えようと前回ベリーダのライズがあった所に移動してもらう。

沖の方にやってきた

少し離れた場所にやってくると魚影が段違いだった。そこら中で魚が水面を割っている。

私にもベリーダのライズが見えた、横っ腹を見せて沈んでいく魚体は50cm程か、これは投げるしかない。

しかしここには問題があった、オモリを付けた仕掛けは底に付くまでに糸をどんどん吐き出していく。水深がめちゃくちゃ深いようだ。30m以上あるらしく、水底に餌を沈める作戦は明らかにダメだと思われる。

船頭さんがいいの釣ってる

船頭さんは念願のハンパラポイントに来てウキウキである。小さなシンペンを高速でトゥィッチしていると激しいバイトと共にハンパラが爆釣だ、まさかルアーに生餌が負けるとは。

小ぶりだがあっという間に3匹釣り上げる

うおおお、ルアーでランガンしてええええ!

しかし私はベリーダを釣ることを諦めてはいない。水深がある場所は浮きが無いとキツいので浅くていい感じのポイントに行って欲しいとお願いする。

とにかくホテイアオイが多い

ホテイアオイの群生のせいで最近はトーマンが釣り辛くなったらしい。今は夕方しか釣れないとのことだ。

色々と場所を変えてみる

岸近くの水上家屋の裏に来た時にかなり魚影の濃いポイントが見つかった。船頭さんは速攻でハンパラを一匹追加している。

私も水上家屋の裏の沈んでいる竹の下にミミズを落とすと小気味良いアタリとともに遂に糸が引きこまれた。

Hemichromis elongatus

ようやく釣れたのはバンデッドジュエルシクリッド

ファイブスタージェネラルとも呼ばれる西アフリカ原産の外来種、このダム湖は本当に外来種まみれである。

水槽で泳いでいるのを見たことあっただけで釣るのは初めてなので嬉しい。

しかし肝心の本命はマジで釣れない、生き餌を使ってここまで何の反応も無いとは思いもしなかった。

船頭さんが実績があって一番期待が持てるポイントがある。さっきはホテイアオイだらけで入れなかったが、今は大丈夫かもしれない。行ってみるか?というので当然行く!と答えた。

さっき船乗ったとこの隣やないかい!

これには流石にガックリ来て心が折れてしまう。ここがいいなら船乗らなくていいじゃない。

この水上家屋から夜釣りするといいらしい

時間は10:30、生き餌を見ると暑さで全滅してしまっており、ここで無念の納竿を決意する。

あれこれ作戦を立てたが、完全敗北の結果に終わった。

おちょうちょがきれいですわ〜

荒んだ心を七変化の花の蜜を吸うウラベニヒョウモンに慰めてもらい、今日の反省点を考える。

正直いっぱいいるなら一匹くらいは釣れるだろうという浅慮さがあったことは間違いない。

カリマンタンのように支流の川があって乾季の減水時に浅瀬にベリーダが集まってくるという状況があれば話は変わってくるが、ダムで堰き止められいる以上、ベリーダが下流に行くことは無いと思われる。

時間帯、場所を最適にして仕掛けも浮きやぶっ込みなど、試行を重ねないと獲れない魚であるということを実感したが、ここで何度も夜を明かすのは中々キツそうで1匹は遠そうである。

餌も今日用意出来なかった活エビがあれば尚良さそうだが、リベンジの機会があるかは気分次第というとこだろう。

まあ…釣り堀にも入ってるしね…

やっぱ釣り堀だぜ!!

コメント

  1. 無色セブン より:

    外来種が丁重に扱われてるって面白いですねw

    ベリーダって魚の形変わってますね 腹ビレのところが
    普通の魚と違ってヒラメやカレイのエンガワみたいな感じで
    泳ぎ方が気になります

    • azemichitanbo より:

      コメントありがとうございます!
      ベリーダは水槽で泳いでるのを見るとヒレがゆらゆら揺れてかわいいですよ!
      ジャンプもしますが引きはあまり強くはない魚です。

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