※2023年、既に閉業したとのことです。
レバラン休暇が終わった翌週、再び三連休がやって来た。
しかし、これが2022年最後の連休である。まだ今年も半分以上残っているのにも関わらず今年は祝日が土日に被りまくるという嫌なパターンだった。
という訳でやって来ましたバリ島。これが最後の連休という事実にいち早く気づいた私は事前からバリ島に旅行に行くことを計画していたのだ。
しかし同行予定の友人が直前に身分証を財布ごと紛失、既に航空券もホテルも早い段階で取ってしまっていたこともあり、無駄にするのも勿体無く1人旅となった。
どこに行くかも決めていなかったが、そういえばバリ島に怪魚釣り堀あったなと思い出し、1日のんびり釣りでもしようと電話をかけてみた。
バリ島の有名観光地ウブドのあるギャニャール県に位置する怪魚釣り堀The Predator Bali
2018年頃にオープンした怪魚釣り堀だが既にいくつかのブログ記事もあり、釣り池の内容を見る限りちょっと微妙だなと感じていたが電話をしてみて更に行くのを躊躇った。
なんと連休のど真ん中の夜にコロソマ釣り大会が開催されるとのこと、私は連休初日に行きたかったのだがその日に200kgのコロソマを釣り池に放流し、大会開催まで釣り堀は休業するらしい。
超微妙だ、それなら普通にバリ島観光した方が有意義かもしれない。しかし怪魚釣り堀ハンターとしてはどんな感じなのか雰囲気を見ておきたくもある。
しかし大会のチラシ画像を見ていて気になるものを発見した。
大会には外道賞もあり、その対象魚としてレッドテール、アリゲーター、パンガシウス、レオパード、タイガーショベルノーズ、シダット、タパー(ワラゴーレイリー)、トーマンとある。
目に止まったのはSidat(シダット)という魚、インドネシア語でウナギを意味する言葉である。
世界に16種いるウナギ目、日本に生息するオオウナギに類似し最大1.5mまで成長するセレベスウナギである。
セレベスとはスラウェシ島の植民地時代の呼び名であるがこのウナギはインドネシア全土からニューギニア、フィリピンなどにも分布している。
そういえばプルワカルタのダム湖行った時に船頭さんが夜釣りでデカいウナギが釣れると話していたが、以前ジャワ島の魚を調べていた際に見かけたAnguilla sp. はコイツのことだったのかと理解した。
田んぼの近くを歩いているとタウナギを捕っている人をたまに見かけるがタウナギはウナギ目ではなく、インドネシア語でもBelut(ベルッ)と呼び分けられている。
これは釣ってみたい。しかも釣り大会は夜であり、夜行性のウナギを釣るには適していると思われる。そう思い立つとすぐにコロソマ釣り大会にエントリーした。
バリ島にて2日間の観光を楽しんだ後で釣り堀を目指す。釣り堀はウブドから更に30分程北に進んだ先にある。
釣り堀では餌も用意出来るが当日はコロソマ用の練り餌くらいしか用意出来ないということで道中餌を探す。
魚の切り身でも買って行こうと考えていると道端で鶏肉を売っていたのでウナギと言えばレバーだろうと袋いっぱいの鶏レバーを購入した。
ウブドの工芸品屋が立ち並ぶ道を北に進むとバリ島の名物とも言える棚田が広がっていた。
なんだかんだでジャワ島にも棚田は沢山あるので感動は薄いが周辺は店が立ち並び、棚田の風景が観光資源として賑わっていることに感銘を受ける。
ライステラス地帯を越えて更に田舎道を進むと釣り堀の近くに到着した。
釣り堀への道は田んぼの畦道になっており、車では進入出来ずに手前で降りてから歩いて向かうことになる。
車を降りてからはすぐに釣り堀に到着することが出来た。「コンドルは飛んでいく」が大音量で流れていたので容易に分かったが、無音だと少し分かりづらいので周囲の人に聞いた方が良いかもしれない。
過去にキノコを自家栽培しており、そのキノコを使った料理が名物だったが今はキノコ栽培の小屋を潰した為にキノコ料理も提供していないようだ。
Oemah Ong (王さん家)という名前はこれらのキノコ料理を出すレストランとしての名前であり、それが無き今はThe Predator Bali一本で営業している。
肝心の釣り池は45m×22m、水深1.8mとインドネシアの怪魚釣り池の中でもVillaku Kuningに次ぐ小さな池だ。
以前はここに45kgのピラルクを放していたが大きくなり過ぎたピラルクが池の魚を食べまくってしまい、ついにはデンパサールに里子に出されてしまったようだ。
その為最初に入れていたピーコックバスやバラマンディなどは長く姿を見ておらず、既に消化されてしまった可能性が高いとのことである。
エントリーを済ませて18:00の開始時間を待つ、夕方の17:00過ぎに到着したので辺りを散策しながら時間を潰す。
周囲には田んぼしか無いが棚田状になっている所もあり、中々壮観である。
こういった田園風景は日本の田舎でも見られるものではあるが、合間にあるヤシの木や熱帯の植物が異国情緒を漂わせている。
大会参加者に振る舞う為の豚の串焼きが売られていたので購入する。一口食べてみると超美味い、毎日食べてもいいくらいだ。
一口食べて手を洗っていないことに気づいて席を立った隙に豚串を犬に食べられてしまう。
まあ目を離したのが悪いかと諦めて釣りの準備を始める。
大会参加者が続々と集結し、釣り座を決めるクジが始まった。
見るからに両端が良いが私に定められた釣り座は池のど真ん中だった。
タックルはいつものFinchカナリア610Mにカルコン200、PE5号に60ldリーダーを組んでいる。
参加者は28名、私以外は見事に全員現地の人だ。ウブドに大量の欧米人観光客がいたので1人くらいいるかなと思っていたが、結局外国人は私だけである。
周りは全員ワイヤー仕掛けだったので私もワイヤー組もうかなと用意しているとふいに開始のカウントダウンが始まった。
正直コロソマ大会になんて興味ないね、とスカしていたがカウントダウンを聞いた瞬間に闘争本能が刺激される。
コロソマキングは…俺だ!!!
鶏レバーを池に放り込んだ瞬間に糸が走る。魚に走られると隣の人と糸が絡むので速攻でゴリ巻きして取り込む。
そこら中でコロソマが乱舞している。前日に200kg追加されたということだがサイズは全体的に小さい。
コロソマは入れ食い状態だ、ナマズ類や目的のセレベスウナギは底にいると思われるので餌を着底させたいがフォール中にコロソマに掻っ攫われてしまう。
立て続けにコロソマを4匹釣った後でリーダーがボロボロだったので交換して釣りを再開する。
しかし先ほどまでの祭りが嘘のように辺り一面には静寂が訪れた。
全く釣れなくなってしまう釣り池、私の仕掛けにもウナギはおろか何のアタリも無くなってしまった。
早々に反応が無くなってしまったので竿を片手にスマホを弄っていると竿先にコツンというアタリがあった。
糸が走るのを待つもしばらく変化が無い。不思議に思って糸を巻くと何かが掛かっている。
全然引かない魚だなと思って手繰りよせると50cmくらいのアリゲーターが浮いて来たがスタッフさんを待っている間にバレてしまう。ゴボウ抜きすれば良かった。
さらに釣り池に訪れる静寂、ギャラリーもいるので釣り座はパンパンである。左右の間隔も狭いので私の前にも両隣の人の仕掛けが飛んできたりする。
数十分に一度のペースでコロソマが上がってくるがやはり釣果があるのは池の両端周辺に集中している。コロソマ以外は姿を見せない。
インドネシアではこういった釣り大会を開催する釣り堀がめちゃくちゃ多く、参加費用の一部を優勝賞金としたり時にはバイクなどの豪華景品を賭けて争われる。
これらは賭博などが禁止されているインドネシアでは人気の娯楽として成り立っているのだ。
参加者は独自の配合や秘伝の餌を持ち寄り賞金を狙っている。
ここには最大11ld、約5kgのコロソマが入っているが他の怪魚釣り堀のコロソマの方が大きい印象だ。
普通の釣り堀の営業時間に来ればもうちょいやりようはあるが目の前にしかキャスト出来ない状況では普段の釣りが出来ない。
こりゃ厳しいなと私も隣の人にもらったティラピアを泳がせて竿を放置、スタッフさんに色々と話を聞く。
昼の営業時は一日約¥1,000で釣りが出来、ルアーなどの使用も自由に出来るらしい。
餌も生き餌なら別料金になるが、釣りたい魚を聞いて餌を用意するので是非また来て欲しいとのことだ。
釣り大会は22:00までだが21:00には帰る約束を運転手さんとしていたので早めに切り上げてホテルに帰ることにする。
途中帰宅でも入賞していたら後日口座に賞金を送ると律儀に言われていたが、残念ながら賞には入っていなかった。
コロソマ以外の他の魚が釣れた人はいなかったらしく、アリゲーターが取り込めていたら外道賞だったがバラしたのでそれも無しである。
現地の人はコロソマが大好きとのことでこの日は大規模な大会だったが小規模な大会も水、金、日曜日の週3で夜に開催されている。
追加で放流されているのもコロソマばかりでピラルクに関しては2度と入れたくないとのことである。良型のレッドテールなどもいることはいるが数は多くないらしい。
鳴り物入りでオープンしたこの怪魚釣り堀もコロナ禍を経てコンセプトは当初から大きく変わっており、現地民を対象とした釣り堀にシフトしつつあるようだ。
バリ島の怪魚釣り堀The Predator Bali、夜の大会という特殊な状況での訪問であったが怪魚釣り堀としてのポテンシャルは実際の池を見た限りでは高いとは言い難い。
ジャワ島にはここの魚よりもっと大きな魚がバンバン釣れる怪魚釣り堀が多数あるので普段それらを経験している駐在員が訪れるにはハッキリ言ってオススメ出来ない。
インドネシアの怪魚釣り堀の中では少々物足りない部分があるがここの唯一性はバリ島にあるということである。
コロナ禍以前は年間20万人以上の日本人観光客が訪れる世界有数のリゾート地バリ島、日本から訪れる観光客の大半はジャワ島なんかに来ないし私もインドネシアでどこがオススメかと聞かれたらバリ島だけでいいと即答するだろう。
日本から直接バリ島に来てそのまま帰る観光客にとってインドネシアの怪魚釣り堀はここだけであり、風光明媚なロケーションの中で家族連れやカップルでのんびりと怪魚を釣る体験は素晴らしい思い出となるだろう。
ビーチがあるデンパサール周辺からは結構距離があるので一日時間を消費する形になるかもしれないが、時間が空いているなら行く価値はあるかもしれない。
釣り道具もレンタル出来るので手ぶらで行ってもいいし、日中の普通の時間であればコロソマ以外の魚も釣りやすいだろう。
南国のリゾート地で淡水怪魚釣り体験、パックツアーもある本格的なGT釣りとは違う手軽な釣行としては如何だろうか?
- The Predator Bali
- 営業時間: 毎日9:00〜18:00
- 事前に予約すれば早朝も可能
- 水・金・日の18:00〜コロソマ釣り大会
- 一日料金約¥1,000 竿2本まで
- 貸し竿約¥500
- 餌は準備してくれてリクエストも可
- ルアーOK、トレブルフックも可
- ウブドから約30分
- デンパサールから1.5〜3時間、道路状況次第
- トイレは手桶と手で尻を洗う方式
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