インドネシア東部にあるバリ島は東京の2.5倍程の広さを持つ南国の島であり、世界有数のリゾート地となっている。
最後の楽園と呼ばれるその島はジャワ島とは異なる独自の文化を持ち、もう別の国と言ってもいい。
私がかつてイメージしていた南国インドネシアとはまさにバリ島であり、何が言いたいかというと最高なのである。
最近毎週飛行機に乗っているがライオンに乗る時は若干緊張する。
2015年に遅延したお詫びにCAを好きにしてくださいと言う機内放送をしたり、フライト中に副操縦士がおっぱじめてその嬌声を乗客に届けたという伝説の航空会社、堕ちたというニュースも大体ここである。
バリ島には問題無く着いたが問題はどこに行くか何も考えていないことだ。ホテルだけは決まっているが突然一人旅になってしまったのでノープランである。
とりあえずまだ朝なのでチェックインも出来ないし空港で足を探しながら行くとこを決める。
バリ島は広く観光地間も距離があるので車をチャーターしたり時間があればバイクを借りて気ままに島を巡るのが一般的だ。
色々交渉して1万円で12時間どこでも行けるという運転手さんにお願いし、一路観光地を目指す。
1人なので普段友達がいると行かないようなとこに行こうと、未だ風葬の風習が残るトルニャン村という秘境の人骨だらけの村にしようと思ったが遠過ぎて断念した。
そうであればインスタとかで頻繁に見かける映えスポットにでも行って写真を撮ろう。
車で2時間程走ったのか、完全に眠っていたので道中の記憶は無いが運転手さんがあそこは景色がいいから見てこいよと言ってくれる。
バリ島は州都のデンパサールなどの海岸付近は割と栄えているがそれ以外は基本田舎だ。それでも世界中から観光客が来るので洒落た店がそこら中にあり、多くの人々の需要を満たしている。
私は基本クソ陰キャであるという自覚はあるが超ミーハーでもある。インスタ映えスポットとか聞くとトキメいちゃう。
しかし自分が被写体になりたいのではなく、自分で写真を撮って後で見返して悦に浸りたいのだ。
バリ島は既に世界からの門戸を開いており、外国人観光客が沢山来ているらしい。特に最近はロシアからの長期滞在観光客が多いとのことだ。
近年SNSなどで人気が高まっているティルタガンガ、近くにあるランプヤン寺院のついでに訪れるという感じだが、外国人観光客で賑わっている。
離宮の外には露店で魚の餌が売っているので餌を撒いて魚を集めて写真を撮る。
友人が来れなかったのが非常に残念だ、昔バリ島に引っ越してった友達が何人かいたので声を掛けたが皆まだレバランの帰省から帰って来ていなかった。
大量のティラピアが観光客が撒く沢山の餌をコイが食い切れない分を処理しているのだろう。
怪魚釣り堀の超マッディな水しか普段見ないので綺麗な水の池を見るのは久しぶりだ。
こういった王族が利用する離宮はジョグジャにもあったが、どちらもいい感じである。
入口前には動物と写真を撮れるコーナーがあり、ヘビやコウモリ、イグアナ、ジャコウネコなど沢山の動物がいた。
まあここは今から向かう目的地の前座である。向かうのは最近めちゃくちゃ人気の映えスポットである。
バリ島の地図や観光サイトを見ているとPuraという表記を頻繁に見かけるがこの「プラ」とはバリのヒンドゥー教寺院のことを指す。
イスラム教徒が大多数のインドネシアにおいてバリ島は独自に発達したバリヒンドゥーと呼ばれる宗教を信仰しており、それが文化の相違性を際立たせている。
運転手さんに色々教えて貰ったがバリ島の人々の考え方は万物に神が宿るという日本の八百万の神と同じような考え方をしているようだ。
ただインドネシアでは唯一神の信仰を国の原則としている為に、万物に宿る神は唯一神サン・ヒャン・ウィディが姿を変えて顕現しているという解釈になっている。
ヒンドゥーということでカースト制はあるがバリヒンドゥーには被差別階級が存在しない。
運転手さんに歴史の授業を受けながら山道を進み、ランプヤン寺院の駐車場に到着した。
全盛期はこの駐車場が溢れるほど観光客が来ていたらしいが今はまだまばらである。ここから専用のバスで更に山を登って行く。
ここは今バリ島でも1.2を争うフォトスポットとして世界中から観光客がある写真を撮るために集まっている。
天空の寺院として話題のランプヤン寺院、山の中腹にある割れ門が鏡面反射している神秘的な写真。
雲が無ければ割れ門の後ろにデカい山がドドンと映り、インスタで見る度に行ってみたいと思っていた。
バスから降りると参拝の為のサルンを巻いてもらい、更に山を登る。バイタクがいっぱいいて¥50で乗せて行ってもらう。
有名な割れ門のある山腹には参拝の為の階段が3段並んでおり、非常に壮観だ。そしてこの階段の反対側に割れ門がある。
割れ門の周囲には写真撮影の順番待ちで沢山の人が待機している。入場料金を払った際に写真撮影の順番の整理券を渡されたが、私の番号が130に対して今呼ばれているのが40とかだ。
あの神秘的な風景はどこ?とウロチョロしていると写真撮影をしているスタッフさんのスマホに鏡がセットされているのが見えてしまった。
嘘だろ…?あの鏡面反射の風景見る為にここまで3時間くらいかけて来たんだぞ…
まさか物理的に鏡面反射されているとは知らずにテンションはガタ落ち、そのまま帰路に足を進めた。
後々ネットを見てみると私と同じような勘違いをしていた人が多く、怒っている人も見かけた。
まあネット見てればそういうものってのは普通に書いていたし、ちゃんと調べてなかった私が悪いだろう。
それにしてもあれを撮るのに3時間とか普通に待つらしく、世界中から人が集まっていることからも皆のSNS熱は高いんだなと感じた。
先ほど訪れたティルタガンガを含め、1人で来るとこではなかったなと少し後悔する。
こういうとこは誰かと来てワイワイ写真を撮るのが楽しいとこなので1人で来ると魅力半減という感じだ。
もうプランは尽きたので運転手さんにどこかオススメないかなと聞くと鉄板の観光地に連れて行ってくれるとのこと。
100kmくらい移動するとのことで再び爆睡していると目的地の近くに着いた。
ウルワツ寺院は崖の上にありインド洋から押し寄せる高波の光景が圧巻だ、夕方にケチャダンスが開催されることでも有名である。
これはいい、雄大な自然という言葉がこれ以上に相応しいものは無いと思えるほど力強い光景だ。
これはずっと見てられるなあと思いつつも運転手さんがタナロット寺院で夕日を見ようと言っていたので早めに切り上げる。
ケチャダンスもめちゃくちゃ見たいのだが、次誰かと来た時に取っておくことにする。
バリ島は島中で南国の花が咲いているのを見ることが出来る。それは島中にあるプラに参拝をする際に人々は花や香を神に捧げる為である。
敷地内には大量のカニクイザルがいるがここウルワツ寺院の猿は人に対してゆすりをすることで有名なのだ。
ここのカニクイザルは観光客からサンダルや帽子、スマホなどを奪い取り、その場で抱え込む。物を盗られた観光客は猿が満足する食糧を渡さないと盗られた物を返してくれないらしい。
観光客から盗んだ物は決して壊されることは無く、食糧を対価に返却される。そしてこれはここに住むほとんどのカニクイザルにシステムとして定着しているとのことだ。
ウルワツ寺院を出てサンセットで有名な世界遺産のタナロット寺院を目指す。
しかし途中で渋滞にハマってしまい、このままだと閉業時間になってしまうということで諦めてホテルに向かってもらう。
多分今日は200km以上走らせただろうし、運転手さんに感謝である。
ホテルはビーチ沿いにあり、チェックインをして夕陽を眺める。今日何も食べていないので腹が減った。
波の音に重なってホテルの隣りの建物からやたら陽気なハウスミュージックが聴こえてくる。調べてみるとビーチクラブなるものがあるようで飯を食いに立ち寄ってみる。
これは完全にアレだ、洋画の冒頭で休暇中の主人公が寛いでいる所に仕事の電話が入るシーンだ。
クラブ、プール、バーレストランが一緒になった複合施設をビーチクラブと言ってビーチリゾートの流行らしい。
紐みたいな水着着た白人とベッカムみたいな白人がいっぱいウェーイしている。
あー、これはいけません。あまりの陽キャオーラに陰キャオブ陰キャの私は耐えられない。
昼間からやってるみたいだが薄っすらアル中のオッさんみたいな、人から発せられるアルコールの匂いが鼻につく。
すげえ世界もあるなとビーチクラブを後にする。道を挟んだ向かいに小さなプールレストと書かれた店があったので入ってみる。
残酷な現実、さっきのビーチクラブからは10mくらいしか離れていないのにここは客が1人もいない。
晩飯を食ってホテルに戻り、外のソファで波の音とビーチクラブから流れる音楽を聴きながらウトウトする。
明日はコロソマ釣り大会に出る予定だが、行かなくていいかなという気持ちが湧いてくる。
夕方までの予定は特に何も考えていないが、取り敢えず風呂行って寝て決めよう。
その②に続く
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