ついにやって来たレバラン休暇、会社には日本に帰ることを嘆願したが却下されてしまう。
非常におこではあるが、そうなるとただアパートで休みを消費するのも勿体無いし、ムスリム行事に振り回されない地でのんびりしたい。
同じことを考える人はみんなバリ島とかフローレス諸島に行くのだろうが、この機会にインドネシアで見たかったものを見に行こう。
という訳でやってきました北スラウェシ州マナド、スラウェシ島の北端に位置する海の美しい地域である。
ジャカルタから飛行機で3時間半、ダイビングスポットとして世界的に有名な他、シーラカンスの生息地としても知られる街である。
海運の貿易拠点として栄えた結果オランダや日本との関わりも強く、様々な文化を残している。
住民の大半はキリスト教徒であり、マレー系をルーツに持ったミナハサ族という独自の文化を持った民族も暮らしている。
滞在期間は4日間、明確な目的は3つある。
- ここにしか生息していない動物を見ること
- ミナハサ族の超ヤバい伝統市場を見ること
- 海でまったり釣りをすること
後は適当に観光しつつ面白いものを見てみたり美味しいものを食べて仕事のストレスを忘れたい。
まずは第一の目的、希少な動物を見ること。
マナドから東に50km程のビトゥンという街の北に位置するタンココ国立公園自然保護区には独自の生物相で非常に希少な動物が沢山生息している。
特にタルシウス(スラウェシメガネザル)はその代表種として北スラウェシのアイコンとも言える動物だ。
ジャカルタから2時半のフライトで時差が1時間ある為に今は朝の7時過ぎ。
ホテルのチェックインは昼からなので一旦荷物だけでも預けてから行動しようと考えているとタクシーの運ちゃんがビトゥンまで行ってマナドのホテルまで往復で¥4,000でいいぞと言ってくれる。
しかも明日伝統市場に行きたいならそれも乗せていってやると言ってくれた。これは非常にありがたい。
グラブタクシーの価格を見たがそれより安いし、何よりビトゥンで足が見つかるか確信が持てていなかったので渡りに船である。
旅先で信頼出来る移動手段がすぐに見つかったことは幸運と言う他無いだろう、時間が限られた中での旅行で移動手段は1番奮発するべき所だ。
さあタルシウスに会いに行こう!
目指すはタンココ国立公園のちょい下にあるタンドゥルサ動物園である!
え?国立公園のジャングルで野生の動物を見ないのかって?
ジャングル探検は国立公園内でレンジャー同伴のもと3時間程のトレッキングの後にシメとして夕方から夜行性のタルシウスの巣の前でタルシウスが出て来るのを待つらしい。
野生動物は確実に見れるとは限らないし、一日中ジャングルを歩き回るのもきついし、いつでも希少な動物が見れたらもっといいよね!
タクシーの運ちゃんが迷いまくりながらも1時間程で到着した。
特に看板なども無く、海のすぐそばの普通の家だが本当にこれが動物園なのか?
ビトゥンは昭和に日本人がカツオの一本釣りを伝え、カツオやマグロの一大産地として日本にも大量に輸出されている。
普通の家と港があるだけだが、どこに動物がいるのだろうか?
受付のオバちゃんが出てきたので動物はどこかと尋ねると港とは反対側に道がありそっちだと言う。
入園料¥500を払っていざ動物観察だ、襲われるから猿にだけは近づきすぎるなという忠告に若干不安になる。
動物園というより小学校の飼育小屋という言葉がしっくりくるが中にいる動物の多くはタンココ国立公園にいる動物ということで非常にユニークだ。
哺乳類よりも鳥類が多く展示されているが、人が近づくとみんな慌てて逃げ出す。
デカいゲージに小さい鳥が2〜3羽ポツンといると思えばウサギ用みたいな小さなゲージに哺乳類が入ってたりとめちゃくちゃな展示である。
希少生物が沢山いる為に政府の監査が定期的に入ると言っているが役人は何見てるんだよ!
そして客は私しかいない、従業員も近所のオバちゃんが掃除しているだけでその子供が猿に石を投げて遊んでいる。
展示動物の全てがスラウェシ固有種という訳では無いが、それでもバビルサなどの絶滅危惧種が沢山展示されており貴重な動物を見ることが出来る。
受付の家の裏にタルシウスのゲージはあった。
遂にご対面と高鳴る胸を抑えながら中を覗くも中々その姿が見えない、ゲージを回りながら注視しているとついにタルシウスの姿を発見出来た。
かわいい!というか想像よりも断然小さい、小さすぎて見つからなかったしカメラのピントも全く合わない。
カメラを持って四苦八苦していると従業員とその友達と思しき若い女の子が中入る?と言って普通にゲージの中に入れてくれた。
最大でも15cm、コモドドラゴン、オランウータンに並ぶインドネシアの珍獣タルシウス。世界最小級のサルである。
番いで暮らし、片割れが息絶えるともう片方も後を追うように息を引き取ると言われる1匹では生きられない寂しがりや。ここでも2匹で暮らしている。
スラウェシ島は生物の分布層を区切るウォレス線という西と東で生物層が異なる線を跨る地域であり、独自の生物相を形成するその最たる例がタルシウスである。
こんなんジャングル行くより絶対こっちきた方がいいですやん!
しかもお姉ちゃんは餌やりまでさせてくれた。餌は死んだキリギリス、竹の枝にかけてしばらく離れるとタルシウスがそろっと近づいて取りに来る。
もうこれだけでマナド来て良かったと思えた。
憧れのタルシウスに会えて大満足で従業員さんにお礼をして帰ろうとしていると何故かマグロを片手に歩いているオッさんがいた。
なんだここパネえ、オッさんは釣って帰って来たというマグロを車のトランクに放り込んで去っていった。
さっきまで晴天だったのにいきなり空が真っ黒になって来たのでマナドに帰ることにする。ジャングルに行っていたら酷い目に遭っていただろう。
動物園を出てすぐに大雨が降って来た。全然寝ていなかったので車内で爆睡していたらマナドのホテルにいつのまにか到着していた。
ドライバーさんに明日も朝から市場に送ってくれる約束をして別れホテルにチェックイン、時間はまだ昼の14:00である。
ホテルの前は石が積まれた海岸で普通に釣れそうである、しかし危険なのでここでのアクティビティは禁止という立札があった。
ホテル前の食堂には何とマグロの刺身があった。タレは甘めの醤油にピーナッツやパクチー、唐辛子が入っており中々独創的だが全然アリだ、横に添えつけられたキャッサバはナシだ。
数年振りに刺身と焼き魚に醤油を付けて白飯をかき込むという行為に感動を覚える。
値段は刺身¥500、マグロステーキ¥400とこの国では決して安いものではないが大満足だった。
釣りをするにはまずは情報収集ということで釣具屋を検索してそこまで歩いて行くことにする。
マナドの雰囲気は海岸付近が発展してそれ以外は田舎というバリ島に似た感じだ。
豚肉やビールが当然のように提供されていることからもこの地がイスラム教の影響力が弱いことを示している。
釣りをしてて捕まるとかは嫌なので一応警察を見かけるとここで釣りをしていいかを確認、問題無いらしい。
2ヶ所程河口を通ったがバラマンディやGTが入りこむとは思えない感じだ。地図では東の方に大きな河口があったのでまたチェックしよう。
汗だくになったのでモールで涼む、噂のマナド美人でも拝ませてもらおうと思ったがみんなマスクだし、アイドルが全員同じ顔に見えるオッさん病を既に発症しているのでみんな綺麗だねという感じだ。
道路はインドネシアの伝統的な乗り合い車アンコットが途切れずに走り、タクシーは一台も見当たらない。
グラブアプリは使えるだろうが、運転手を今日見つけたことは本当に幸運だ。
寄り道しながら2時間くらいかけてたどり着いた釣具屋は閉まっていた。レバラン休暇中は休業らしい。
落胆した瞬間に雨が降って来たので乗り合い車に飛び乗って来た道を戻る。
ホテルに帰ったらシャワーを浴びてコーラを飲みながら海を眺めてボーっとする。
とりあえず今日は飯食って寝よう。ホテルの近くの豚肉料理屋を覗いてみるとみんな豚の顔を食っている。
晩飯食べたらスタバでコーヒー買ってホテルに帰る。マナド旅行は初日から非常に濃かった。
明日はどんな体験が待っているのか、今から楽しみだ。
コメント
タルシウス めっちゃかわいいですね
グレムリンに似ている!
この動物園すごい楽しそうです。私も童心に帰って動物園行きたいですわ
動物園に近づくにつれて独特の動物臭が子供の頃テンションあがりまくりでした
あの頃に戻りたい・・・
コメントありがとうございます!
タルシウスは本当に可愛くて間近で見れて感動しました。
動物園は生き物好きならいくつになっても絶対楽しいですよ!
帰ったら是非天王寺動物園とか行きたいですねえ。
フィリピンのジャングルでタルシウス見るツアーに参加したことがあるのですが、遠すぎて小さすぎてあまり見えずでした。
来月スラウェシ島に旅行に行くので、スラウェシ観光の記事とても参考になります。写真もとてもきれいで見応えあります!
コメントありがとうございます!
スラウェシ島は凄く良かったので私もまた行きたいなと思っています。
来月スラウェシに行かれるんですね、是非楽しんで来て下さい!!