※今回の画像の多くは友人から頂いて許可の基に掲載しております。後ちょっとは拾い物と私が撮ったやつ
先日インドネシアの友人Khusnulさんからカリマンタンにマシール釣りに行こうぜ、という誘いが来た。
ひょんなことからSNSを通じて知り合ったおばちゃんだが、インドネシア釣り師界隈ではかなりの有名人らしい、所謂怪魚ハンターだ。釣りはくそ上手い。
今年パプアのジャングルに連れて行ってもらうという予定で色々動いていたのだが、コロナで物理的に無理になってしまったばかりで、その代わりということらしい。
カリマンタン島のジャングルで3日ほどキャンプをしながら釣りをして自給自足をするとのことだ。
うーん、悩ましい。かねてから冒険釣行に憧れはあったが同じ魚が釣り堀でも釣れるよ、と言われたら迷わず釣り堀を選ぶヘタレの私だ。
しかも時期が悪い、釣行的には乾季のど真ん中で最高の時期だが、やはりネックはコロナだろう。
現在飛行機に乗るには行きと帰りで搭乗前日にPCR検査を受ける必要が有り、ワクチンの接種も必須だ。
既にワクチンは打っているし、仕事柄あちこち移動しているので検査も7,80回は受けて飛行機や列車に乗りまくっている。
移動すること自体に抵抗は無いのだが、やはり遊びに行ってコロナなりました。とかジャングルでやらかしました、デヘっ。は流石に社会人としてキツイ
熱帯雨林のジャングルにコロナは無いだろうが、他の危険は沢山ありそうだ。ワニとかヘビとか…
パプア用に有給は確保していたので一生のお願いカードを切れば休みを取ることは可能だろう。しかし、何かあった時にその自分勝手による迷惑が他人に及ぶのが最も怖い。
とりあえず保留にしたが、一回の釣行に人生を賭ける価値はあるのだろうか、そもそもこんな機会がまだこの先あるのか、と悩む悩む
いや、そもそも独身だしインドネシアでは基本ボッチだし・・・会社をクビになったら・・・まあ、いいか・・・
悩む理由は一つ、カリマンタンには本当に魅力的な魚が沢山いるのだ。
カリマンタン島とは?
カリマンタン島はボルネオ島とも呼ばれ、インドネシア、マレーシア、ブルネイの3国の領土となっている。
世界の生物種の50%が生息すると言われる熱帯雨林のジャングルを有しており、オランウータンやゾウ、トラなどの野生動物も生息している。
Tor tambra
これが今回誘いを受けている釣行のメインターゲット、Tor tambra(ボルネオマシール)だ。コイ科の魚で1m程にまで成長するフィッシュイーターである。カッコいい。
マシールは複数種が東南アジアや東アジアに広く生息しており、ネパールのTor putitora(ゴールデンマシール)という種は150cmを超えると言われ世界的なゲームフィッシュとして有名。
急流の中で凄まじいファイトを繰り広げるとのことでPE4号以上、リーダー50ldが基本装備となるそうだ。乾季にはこいつがバカバカ釣れるとのことでKhusnulさんは毎年釣行に赴いている。
Notopteridae
そして私が最も好きな魚、Belida(ナイフフィッシュ)である。このブログのアイコンやロゴにも使っている。美大出の同僚に土下座して描いてもらった。
ナギナタナマズ科となっているが、アロワナ目で古代魚の一種とカッコいい要素が盛られまくっている。
ナイフフィッシュはインドネシアに4種生息しており、その全てがカリマンタンに生息している。中でも最大種のChitala Lopis は1mをゆうに超える大型のフィッシュイーターだ。
私が怪魚と呼ばれるものに傾倒していったのはこの魚を釣りたいと思ったことがきっかけなのでいつかは釣りたい。
今回の釣行で釣れるの?と聞いたが今回行く予定の川では釣れないようだ。そもそもナイフフィッシュは東南アジアでは食用として昔から広く利用されており、カリマンタンでも煎餅や練り物の原料となっている。しかし最近では乱獲により漁獲量が激減しており、ついには保護対象種として指定されてしまった。
※追記2022年現在インドネシアの在来ナイフフィッシュは現在法律により捕獲や販売が禁じられております。州によっては懲役や罰金も定められており、自然環境での釣獲には注意する必要があります。
他国で養殖は行われているがジャワ島では既に大型種チタラロピスの野生個体は絶滅しており、スマトラやカリマンタンの野生個体もアロワナほどではないが深刻な状況だという。
陸続きのマレーシアやその他、タイなどにも生息しているので、釣れるならどこでもいいと思っている。
養殖をしているならどこかの釣り堀で釣れるのではと色々情報を探しているが、今の所スポッテッドの情報しか入っていない。
私も別種のChitala Ornata(スポッテッドナイフフィッシュ)は釣り堀で釣ったことがあるが、初めて本物の魚体を見た時は手が震えたものだ。
スポッテッドナイフに関してはジャワ島でも放流されて定着している場所があるらしい。
いつか最大種のChitala Lopisをどこかで釣ることが出来れば、私も来るとこまで来たという感じなのだろう。
Wallago leeri
こちらはインドネシアではTapah(タパー)と呼ばれるナマズ、Wallago leeri(ワラゴーレイリー)だ。
公式の記録は160cm 75kg、間違いなくインドネシア最大の淡水魚だろう。この魚は中型の個体がジャワ島の釣り堀でも意外と入っているがお目にかかったことは一度も無い。
同地域にはBagarius yarrelli(グーンシュ)も生息しているとのことで、本音は行くならマシールよりこっちに行きたい。
こっちには行けないのか、と聞いてみたが今回の目的地付近のポイントはかなり大きな問題があるという。現地の村の住民がクソすぎて釣りにならない可能性が高いというのだ。
正直普通のインドネシア人も結構アレだと常日頃思っているが、その人たちがクソというのだからよっぽどなのだろう。
曰く、自制無く自分たちの好きなように行動するので何をされるか分からない。乾季になって川が減水すると銛や網で魚を根こそぎ取るので絶好のポイントもすぐ魚がいなくなる、とのことだ。
蚊や野生動物、自然の驚異も怖いがやはり一番可能性が高いのは人災だ。そうであれば流石に諦めるしかない。いつか釣り堀で釣れたらいいね。
Osphronemus septemfasciatus
Osphronemus septemfasciatus カリマンタンのみに生息するグラミーの一種だ。コブダイみたいでカッコいい。
グラミーは通常小さく美しい魚だが、Osphronemus という60cmを超える種が4種いる。中でもこのグラミーは清流に生息しており、雑食性故に時にルアーにも襲い掛かるとのことだ。現地語でグラミーを指す言葉のkaloi(カロイ)という名前で呼ばれている。
今回釣行予定の川はFish Baseに記載されていた生息地に含まれていなかったが、過去に釣果はあることはあるらしい。
この魚は日本では第四のオスフロと呼ばれているが、日本人が大きな老成魚を釣った記録はネット上には無い。というより魚の情報自体ほとんど無い。
過去に釣った人は既にいるだろうが、もし釣ることが出来たなら早い者勝ちで日本人初として威張っても許されるだろう。
Scleropages formosus
御存じアジアアロワナだ、自動車が買える値段のやつである。アジアアロワナはカリマンタンに野生種もわずかながらに残っているという程度の魚だ、よっぽど奥地に行かないとダメだろう。
しかもアジアアロワナは利権関係がえげつないらしく、保護活動も盛んだ。勝手に釣ってると川に沈められるまである。パプアにいるノーザンサラトガのほうが数が多く釣りやすいと思うが、ロマン派ではない私は両方釣れる釣り堀でいいよって思っている。
Channa pleurophthalma
こちらもアクアリウム界隈で人気のフラワートーマンだ。
体長は最大でも40cmほどとライギョにしては中型と言ったところだが乾季の季節に体が青く発色する個体を求めてわざわざ国内外から釣りや採取に来る人も多いという。
ブラックウォーターの川や湿地帯に行けばかなり簡単に釣れるとのことであるが、トーマンのように個体毎に違う色や模様を楽しむことが出来るのであれば相当楽しそう。
この魚のいる水域ではトーマンやマルリオイデスも混在しているとのことで、ライギョ好きにはたまらないだろう。今回の釣行でも立ち寄れるらしい。
Datnioides microlepis
カリマンタンにはダトニオイデスも生息している。
一度は釣ってみたい魚だが、運要素が強く狙って釣れる魚ではないらしい。
おまけ程度で考えるしかないがジャワ島の釣り堀でも釣れることは釣れるので気長にそっちでいつか釣れることを祈る。パプアに行きたかったのはこの種の魚が釣りたかったから。
Lutjanus goldiei
世界最強の淡水魚と名高いパプアンバス
バスと付いているがフエダイ系の魚、パプアンと付いているがパプアでも生息している区域は限られており、逆にカリマンタン含むインドネシアの各島やフィリピン、日本にまでと生息域は意外と広い。和名はウラウチフエダイ。
トロフィーフィッシュとしてこの魚を釣ったという事実だけで一生他の釣り人に自慢できる類の魚だ。これは私の手持ちタックルではちとキツイ。小さいのだったら上げられるだろうけど。
カリマンタンは人生で一度は出会いたい熱帯魚達が目白押しだ、クラウンローチとかも見てみたいなあ。
うーん、行く。
コメント
そちらの魚は口先が小さく胴体のほうが大きくナイフフィッシュと言われるだけありますね
なんでそういうふうに進化していったのか気になるところです
古代魚らしいですが、白亜紀の頃から近縁種はいたみたいです。アロワナの仲間ということで、進化をせずに姿を変えないことで他の魚との違いが生まれたのかもしれませんね。